一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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アオウキクサの生長について

質問者:   小学生   ニッキー
登録番号2731   登録日:2012-08-17
僕は自由研究で、アオウキクサの生長に影響を与える条件について調べてみました。

①日照ありとなし
②メダカ入りとなし
③春と夏のそれぞれをくらべました。

春よりも夏の方がよく育つと思って夏の実験を始めたら、思った通りに増えなかったので、1週間おくらせて夏の実験を追加しました。そうしたら、2回目は予想通りにぐんぐんふえました。(特に日照ありメダカありのもの)はじめた時期が1週間ちがいますが、平均水温はあまりかわらなかったです。場所やメダカの数も同じです。原因をいろいろ考えましたが、よく分かりません。日光、メダカ(養分)、水温のほかにアオウキクサの生長をかえる条件はありますか?教えてください。よろしくお願いします。
僕は、メダカがアオウキクサを食べてしまったからかもしれないと思ったけれど、お父さんが「それなら2回目も食べられてしまってもおかしくないでしょ。」というので、分からなくなってしまいました。
(パソコン不慣れのため母代筆です。)
ニッキー さん

質問への回答が大変遅くなってしまい、待ちくたびれてしまったかもしれませんね。自由研究の報告には間に合わなかったと思いますが、折角関心を持って始めた研究ですから、この回答を参考にもう一度自分が納得いくように結果をまとめてみて下さい。回答はアオウキクサの研究をなさっている筑波大学生命環境科学研究科の廣田充先生が担当して下さいました。


回答:
非常に小さなアオウキクサに注目して、自由研究をおこなったとのこと、とても良い植物を実験対象にしましたね。ウキクサの仲間は、条件が良いととても生長が速いし(2-3日で2倍にもなります)、また数えやすいという長所もありますので。
多くの植物に比べると、サイズは小さいですが、実験植物としても用いられることが多いです。
さて、質問についてです。『日光、養分(メダカ)、水温の他にアオウキクサの生長をかえる条件があるか』ですが、この3つの条件はいずれもアオウキクサにとってとても大切な条件ですし、今回の結果を考察するには、この3つについて考えれば良いでしょう。もちろん、もっと異なる時期に観察した場合は、日長なども条件の一つとして考えられると思いますが、今回の実験期間が1週間程度と短いので無視して良いでしょう。
つまり、この3つの条件のどれかが、この結果(1週間程度で生長が大きく異なったこと)に深く関わっている可能性が高いです。どのような条件で育てたのか?(室内か、野外か?水槽の大きさ等)によりますが、この中で一番重要な条件は、温度の可能性が高いと思います。それは、以下の理由からです。

1)アオウキクサが温度にとても敏感な植物だから
最適温度から5℃程度ずれるだけで、生長が悪くなることが知られています。私たちが以前調べたところ、アオウキクサの最適水温は15ー20℃程度でした。
2)日光と養分(メダカ)条件は、1週間程度ではほぼ変わらないだろうから
推測に過ぎないのですが。1週間程度でこの二つの条件が大きく変わったとは考え難いです。そうなると、温度条件が一番可能性が高くなります。

でも、平均水温はほとんど変わらなかったとのこと、ますます謎が深まりますね。
でも、ちょっと思い出してみて下さい。平均水温は変わらなくても、一時的に急に高くなった(あるいはその逆も)ことはありませんでしたか。思い出せなかったら、新聞等でさかのぼって調べてみましょう。それでも同じだったとしたら...それ以外の条件の可能性がありますが、残念ながらこれだけの情報ではこの謎は解けないでしょう。

私たちが研究をする場合も同じですが、予想もしなかった条件が重要だったなんてこともよくあります。そういうことに備えて、予想した条件以外の条件も念のために調べておくことがあります。予想通りに行かないことにがっかりもしますが、それは新しい発見につながりワクワクもします。

廣田 充(筑波大学生命環境科学研究科)
JSPPサイエンスアドバイザー
勝見 允行
回答日:2012-11-07
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