一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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ヨウ素液に反応しない種子について

質問者:   小学生   みほりん
登録番号2733   登録日:2012-08-20
夏休みの自由研究で、いろいろな種子の中身の養分について調べました。種子を半分に切って、ヨウ素液をたらし、でんぷんがあるかないかを調べ、種子によってでんぷんの形が違うのかを顕微鏡でみようと思いました。
そらまめ、さやえんどう、ホウレンソウはうまくいったのですが、みつば、にんじん、白菜、ブロッコリー、大根はヨウ素液をたらしても青紫色になりませんでした。なぜ、これらの種子はヨウ素液をたらしても青紫色にならないのですか?でんぷんは含まれていないのですか?ほかに養分が入っているのですか?だとしたら、何が含まれているのか知りたいです。でんぷんとヨウ素反応のように、それらを見つけるのにいい方法はありますか?
よろしくお願いします。
みほりん さん

ご質問をありがとうございます。自由研究でされようとしていることは、(A)いろいろな植物の種子に含まれる養分について調べることと、(B)デンプンを含む種子について、植物によってデンプンの形に違いがあるかどうかを調べることですね。
養分について言えば、大量にデンプンを含むものとしてイネ・ムギ・トウモロコシなどの種子、タンパク質を多く含むものとしてダイズなど豆類の種子、脂肪を多く含むゴマ・ラッカセイ・ツバキなどの種子が良く知られていますね。この三つの成分は種子に含まれる養分のおもなもので、それらの含まれている割合は植物によって違っています。あなたの自由研究では上にあげたような植物は含まれていますか。

ところで、ヨウ素デンプン反応が現れるためには、(1)そこにデンプンがあること、(2)そのデンプンが反応すること、(3)(2)に含まれるかもしれませんが、反応を邪魔するものがないことの三つの条件が必要です。“種子を半分に切って、ヨウ素液をたらす”やり方では、場合によっては、反応が不十分になることがあるのではないかと心配します。徹底的にやるには、水の中で加熱し、種子の中身を紙のようなものにくっつけて、ヨウ素と反応させる(冷めた後で)のが良いのではないかと思います(反応しやすくするために、最初に粉にしてしまうのも一案です)。種子には、上にあげた三成分を中心に、多くの種類の物質が含まれておりますので、それぞれの成分に合った検出方法が必要になります(例えば、タンパク質についてはビューレット反応を利用する方法など)。なお、デンプンなどの成分は種子の中の特定の部分にたまっておりますので、顕微鏡でみられるときには、そんな点についても気をつけてみて下さい。

良い自由研究になることを願っております。
JSPPサイエンスアドバイザー
佐藤 公行
回答日:2012-08-24
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