一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

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夏場に日中の水やりでお湯になるについて

質問者:   一般   シース
登録番号2735   登録日:2012-08-21
暑い夏の日中は気温が高くなります。
朝顔を育てているのですが朝や夜は葉が元気なのに日中は葉が萎れています。
これでナットク植物の謎の中で水不足により細胞のハリがなくなって葉が萎れたりもするということがあったと思い、水やりを行いました。
しばらくすると葉の萎れが和らぎハリが戻りました。

ところがそれを父に見とがめられて、暑い日中に水やりをするとお湯になり根を傷める葉についた水がレンズとなり、葉を焼くので日中に水やりはやらないようにと言われました。

気になるのですが水は蒸発するときに気化熱として熱を奪いますし、また植物も蒸散により自身の温度が上がらないようにしていると思います。
水をやらないとしても葉も高温に鉢や地面も高温にさらされているのでお湯になるから〜というのが納得しづらいです。
夏場における日中の水やりは本当によくないのでしょうか?
高温という観点でなら水をやった方が高温を防げるように思えます。

葉っぱに水に関しては登録番号1407にレンズとは違う理由で載っており葉っぱにはかからないようにしようと思っています。
ただ葉っぱの水でレンズ効果がというのは果たしてあるのでしょうか…?

園芸的な質問ですので違っていたらすみません。
シース様

みんなのひろばへのご質問ありがとうございました。私も夏の日中の水やりはいけないと聞かされていて、夏の昼間に雨が降ったらどうするのかと思っていました。園芸関係は得意ではないので、まず、本を見ました。小学館の万有百科事典・19巻「植物」の園芸の項です。そこに「潅水の時刻は、とくに難しい植物では加減が必要だが、ふつうの植物ではあまりこだわる必要はない。」とあり、なんだそうなのかと思ったのですが、シースさんのお父さんもそうおっしゃっておられるのでしたら、やっぱり夏の日中の水やりはまずいのかと、少し考えました。お父さんの言葉で気になったのはやった水がお湯になるということと、葉についた水が良くないということで、雨の場合、葉は濡れますが、お湯にはならい。つまり、やり方が少ないと害になると云うことで、万有百科事典の記述は、たっぷりやると云うことが前提でのものだと思いました。シースさんのお父さんも、私も聞かされていたのだから、夏の日中の水やりは良くないと云うことの書いてある本がある筈だと探しましたら、ありました。石川 格「らくらく園芸入門Q&A」(誠文堂新光社、2004)で、葉に水をかけると気孔が開き蒸散を促してしまうと書いてありました。ここからは、植物生理学です。葉の気孔を閉じさせる植物ホルモンがあります。アブシジン酸というホルモンです。土壌中の水分が減ると、このアブシジン酸が葉で作られ気孔を閉じさせます。ところが土壌中の水分が減っても、葉の表面が濡れているとアブシジン酸が合成されないので、気孔は開いたままになります。気孔が開いたままでも、土壌中にしっかりと水が供給されていれば、良いのですが、十分に供給されず、葉だけが濡れると、却ってしおれさせることになるのだと思います。
JSPPサイエンスアドバイザー
柴岡 弘郎
回答日:2012-08-31
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