一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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種なしスイカ なぜ4倍体の花粉を用いないのか

質問者:   教員   金魚君
登録番号2749   登録日:2012-09-05
種なしスイカを作るときには、スイカの芽生えにコルヒチン処理をしてから4倍体を作り、その花に正常個体の花粉を受粉させて3倍体を作出するというのがよく言われています。
なぜ、4倍体の花粉を用いて正常個体に受粉させ3倍体の作出を行わないのでしょうか。
金魚君 さん:

みんなの広場 質問コーナーのご利用ありがとうございます。
ご質問は、野菜茶業研究所の永田雅靖先生のご紹介で、北海道農業研究センターの杉山慶太先生に回答をお願いしました。2倍体を母親にすると種子が不稔になるためのようです。
なお、杉山先生が参考文献もご紹介下さいましたので参考になさって下さい。


【杉山先生の回答】
スイカの3倍体の種子作成について
スイカの2倍体を母親(種子親)、4倍体を花粉親にした場合、果実はつきますが、種子はほとんどがシイナになってしまいます。そのため、スイカは4倍体を母親(種子親)、2倍体を花粉親にして3倍体の種子を得ています。
スイカ以外の作物にもこのような現象があることは知られています。胚乳が関係しているのではないかと言われていますが、確実なことはまだ分かっていないと思います。


参考文献(これ以外にもございますが、代表的な文献のみご紹介致ます。)
木原均・西山市三.三倍体を利用する無種子西瓜の研究.1947.生研時報第3号.93-97
Kihara, H. (1951) : Triploid watermelon. Proc. Am. Soc. Hort. Sci., 58,217-230.
Kihara, H. (1958) : Breeding of seedless fruits. Seiken Ziho, 9, 1-7.

杉山 慶太 (独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 北海道農業研究センター)
JSPPサイエンスアドバイザー
今関 英雅
回答日:2012-09-12
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