一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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ムラサキツユクサのおしべの毛について

質問者:   教員   すずね
登録番号2750   登録日:2012-09-05
高校生物の問題で、体細胞分裂を観察するのに適切な材料として、適当なもの
を以下の①〜⑥から2つ選択せよ。という問題がありました。

①ユスリカの幼虫のだ腺
②タマネギの根端
③ヒトの赤血球
④ニワトリの肝臓
⑤ヌマムラサキツユクサの若いつぼみの中のやく
⑥ヌマムラサキツユクサの若いつぼみのおしべの毛

答えは②と⑥で、答える根拠としては、体細胞分裂が盛んな部位を答えれば
良いわけですが…

②は明らかに根端分裂組織があるので選択できます。

しかし、⑥は確かに体細胞分裂をしていて体細胞分裂の観察によく用いられる
ことは知られていますが、“花にも分裂組織がある”というのは、これまで
学習した内容(植物の分裂組織は頂端分裂組織と形成層である)にあてはま
らないような気がするのです。

ムラサキツユクサのおしべの毛は頂端分裂組織か形成層に所属する部位なの
でしょうか?それとも、頂端分裂組織や形成層とは異なった分裂組織なの
でしょうか?稚拙な質問で申し訳ありませんが、回答いただけたら幸いです。
よろしくお願いします。
すずね様

みんなのひろばへのご質問ありがとうございました。分裂組織とは細胞分裂を行う細胞からなる組織で、茎頂、根端、形成層などのことですが、それ以外の細胞も分裂する能力を失っている訳ではありません(登録番号2196をご参照下さい)。葉や茎に生えている毛(トライコーム:登録番号2383)も、根に生えている根毛もムラサキツユクサのおしべの毛も表皮細胞に由来しています。根毛や茎や葉のトライコームのように表皮細胞が突起しただけで細胞の数が増えていない毛もありますが、ムラサキツユクサのおしべの毛のように細胞分裂を繰り返して出来る毛もあります。葉の毛でも、グミの葉の毛のように、細胞分裂を繰り返して出来た勲章の様な形の毛もあります。表皮細胞は細胞分裂をする能力を持っているのです。気孔は表皮細胞が細胞分裂を繰り返して作られます。このことも、表皮細胞が細胞分裂をする能力を持っていることを示しています。
JSPPサイエンスアドバイザー
柴岡 弘郎
回答日:2012-09-18
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