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 藻類は植物でない?

質問者:   会社員   羊のメイ
登録番号2768   登録日:2012-10-13
中1の娘が理科の時間に先生から「藻類が植物ではなくなりました。資料集では植物になっているけど、注意してください。」と言われ、教科書にも「藻類は植物ではない」と書かれています。では藻類はどのような分類になったのでしょうか。ご教授ください。
羊のメイ様

ご質問承りました。筑波大学で藻類を専門とする石田健一郎先生から回答をいただきました。藻類は藻類として分類するようになったということのようですね。お役にたてば幸いです。



[回答]
藻類が植物かそうでないかは、「植物」をどう考えるかによります。植物とは何か、についてはこれまでいろいろな考え方が出されてきました。おそらく多くの人になじみ深いのが、「光合成をして独立栄養で生きる生物(いわゆる生産者)が植物である」という考え方だと思います。この場合、藻類は植物ということになります。しかし近年、生物の系統関係(類縁関係)に基づく分類体系の見直しが進められている中で、この考え方は現実的ではなくなってきました。つまり、上述の意味での植物は単系統群(1つの祖先から進化したひとまとまりの近縁なグループ)ではないことが明らかとなっているのです。例えば、植物(藻類)として扱われていたラン藻類は、他の植物よりも大腸菌などに近縁です(そのため最近はシアノバクテリアと呼ばれています)。

これに対して、最近広く受入れられている考え方は、「陸上植物、つまりコケ植物、シダ植物、種子植物を植物とする」考え方です。陸上植物は単系統群ですから、これは分類学の考え方によくフィットします。この考え方の下では、すべての藻類は植物ではないことになります。他にも、陸上植物と緑藻類を植物とする考え方、陸上植物、緑藻類、紅藻類、灰色藻類を植物とする考え方などがあります(これらは葉緑体の起源に基づいた考え方です)。これらの場合、植物に含まれない藻類は、シアノバクテリアを除いて大まかに「原生生物(原生動物と藻類を合わせたグループ)」に分類されることになります。ただし、原生生物自体も単系統群ではなく、様々な系統群を含んでいます。生物の系統関係が明らかになるに連れて、藻類は原生生物の中の様々な系統群に散らばって存在することがわかってきています。

石田 健一郎(筑波大学)
JSPP広報委員長
長谷部 光泰
回答日:2012-10-17
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