一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

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水草は陸上では育たないのか?

質問者:   小学生   うーたん
登録番号2774   登録日:2012-10-21
水草について質問があります。
私は、メダカを飼っていて、その水槽の中にアナカリス、マツモ、という水草を入れています。最初は2、3本だった水草が、1年で水槽いっぱいに増えました。玄関に置いてある水槽なので、日光は直接あたりません。エアーポンプも入れていません。
陸上の植物は、水の中にずっと入れていたら枯れると思います。なぜ、水草は枯れないでいられるのですか?
わざと、マツモを1センチくらい水面から出しておいたら枯れました。水草は、陸上では生活できないのですか?
うーたん様

 みんなのひろばへのご質問ありがとうございました。うーたんさんは息(呼吸)をしていますよね。息を止めたら死んでしまいます。アナカリス(オオカナダモ)もマツモもほとんどの生き物は息を止めたら死んでしまいます。アナカリスやマツモが水の中で生きているのは、水の中で息が出来るからなのです。息をするのは酸素を取り込むためです。私達は空気中の酸素を取り込んでいます。酸素を取り込んで、体の中の糖を分解し、生きて行くためのエネルギーを作り出しているのです。水の中には空気はありません。でも、酸素は少しですが溶け込んでいます。水草は水の中にわずかに溶け込んでいる酸素を体の表面から取り込んで生きているのです。水草の葉はわずかしか溶けていない水中の酸素を取り込むため、薄くなるか、細く枝分かれして、水と接する面積を広げています。アナカリスやマツモをご覧になっておられるので良くご存知と思います。また、葉を取り囲んでいる表皮も酸素が通りやすいように薄くなっています。水草は水の中で生きて行くためにこんな工夫をしているのです。水草は水の中から酸素を取り込むために、表皮を薄くしていますので、外に出すと、葉の中の水がどんどん外に逃げて行き枯れてしまうのです。水草は外に出すと枯れてしまいますが、普通の陸上植物は枯れません。普通の陸上植物は体から水が逃げて行かないように、水を通しにくい層(クチクラ層)で体を覆っているのです。水を通しにくい層で体を覆うと、酸素が取り入れられなくなるので、気孔と呼ばれる空気の通り道をこしらえています。陸上の植物を水中に入れると,枯れるのは、体全体が水や酸素を通しにくい層で覆われているからです。気孔はありますが、水の中では閉まっていて役に立ちません。分からないところ、分かりにくいところがあったらまた質問して下さい。
JSPPサイエンスアドバイザー
柴岡 弘郎
回答日:2012-11-05
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