一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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ナツツバキの花の斑点

質問者:   会社員   かめさん
登録番号2780   登録日:2012-11-01
1本のナツツバキの花びらに斑点の有るものと無い物があり気になって観察しました。断定は出来ませんが日向に咲いている花には斑点が有り日陰に咲いている花には斑点がは有りませんでした。
斑点は1番外側の花びらに赤くついています。又ガクも少し赤くなっています。
花の蕾のときに太陽光によって赤く変色するのではないかと仮定して実験をしました。小さい蕾のときに銀紙を被せておき、開花しそうなものは夕方に銀紙を取り、朝開花した花を観察しましたら斑点はありませんでした。花びらのガクも緑色でした。観察数が少ないので確定は出来ませんが斑点ができるのは太陽光の影響と思っています。
このことは正しいでしょうか?、又アントシアニンなどの影響なのでしょうか?
来年はもう少し厳密に実験しようと思っています。実験方法など教えて下さい。よろしく御願いします。
かめさん


写真ありがとうございました。このナツツバキは珍しいものではなく、かなり一般的に栽培されているようです。特別に名前があるのかどうかは園芸の方に聞いた方が良いと思いますが、調べたところではヒメシャラに同様なものがあり、これは福岡県の英彦山にたくさん自生しているらしく、ヒコサンヒメシャラと呼ばれているそうです。ナツツバキに同様なものがあっても不思議はありません。ピンクの斑点がもっと増えているものはピンクシャラといって販売されている様です。ところで、この斑点の色素は何かというと、その色と光が当たるとできるということから、多分アントシアニンでしょう。植物の花や果実の色とアントシアニンのことはは過去にたくさんの質問がありますので、アントシアニンで検索してみて下さい。アントシアニンは特に紫外線があたると合成が誘導されます(登録番号2097,2669)。銀紙を被せておくと斑点が出来ないのはアントシアニンの合成に光が必要なためです。リンゴの表面に文字や絵を書いたりしたものがありますが、あれは赤い色素が出来始める前にその部分だけ光を遮断して作った果実です。では、なぜ花弁の一部だけにアントシアニンが形成されるのかということは分かりません。そういう突然変異なのか、ウイルスやトランスポゾン(動く遺伝子)によるものかでしょう。花の斑入り模様はトランスポゾンに原因することが多いです。(質問コーナーでトランスポゾンで検索して下さい。)
さて、実験ですが、光を遮断すればアントシアニンができないことは分かったのですから、同じことをしても面白くありませんね。例えば、アルミフォイルで蕾を覆う時期とか、光の強さなどを確かめてはどうでしょうか。光の強さは調整するのが難しいでしょうから、蕾を覆うシートを透明〜半透明なものを使うとかしてはどうでしょうか。
JSPPサイエンスアドバイザー
勝見 允行
回答日:2012-11-05
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