一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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ゴボウの香り成分と適した土壌について

質問者:   その他   ごぼー
登録番号2800   登録日:2012-12-12
毎年ゴボウをつくっていて年によって香りの強さが異なります。香りの主成分はセスキテルベンラクトというものらしいのですが、ゴボウの香りをより強く引き出すにはこのセスキテルベンラクトを多く含んでいる方がいいということでしょうか?その場合セスキテルベンラクトは栽培の過程でどのように増やしたらいいのでしょうか?
それとゴボウには粘土質土壌が良いというのを聞いたことがあるのですがそれはどうしてでしょうか?
この辺りを理解して栽培に活かし、お客様にもっとうちのゴボウの良さを伝えたいと思っておりますので是非アドバイスをお願いします。
ごぼー さん

このコーナーにご質問をありがとうございました。

この質問に関しては岡山大学の稲垣善茂先生が下記の回答文をご用意くださいましたので、ご参考になさってください。


【稲垣先生からの回答】
キク科の多年草であるゴボウは、薬草として中国から伝来しました。ゴボウの根や種子(牛蒡子)には薬効があり、根は繊維質で便秘予防に効果があり、発汗利尿作用があると考えられています。また、牛蒡子は浮腫、咽頭痛、解毒に用いられるそうです。ゴボウ根部には揮発性物質の主成分として、アプロタキセン、セスキテルペンラクトン類、コスト酸が含まれているようです。ゴボウの香りの成分と考えられるものとしては、メトキシピラジン類、フェニルアセトアルデヒドや脂肪族アルデヒド類、セスキテルペンラクトン類(dehydrocostus lactone 及び dehydrodihydrocostus lactone)が含まれていますので(参考:日本農芸化学会誌 59(4), 389-395, 1985)、セスキテルペンラクトン類がその香りの中心であるようですが、ゴボウの香りは1種類だけの香り成分で決まっているわけではないようです。

ゴボウに限らず、植物が創り出す有効成分(植物二次代謝産物と言います)をより多くその植物に作らせたいという願望は栽培家ならば一度は考えるものです。そのためには大きく分けて二つの手段があって、一つ目は遺伝的に有効成分をより多く生産する栽培種(若しくは栽培株)を探すことです。二つ目はどのような条件(例えば土壌条件、気候条件、即ち水分、気温、太陽光の量など)が、問題となる有効成分をより多く生産させることが出来るのかを長年の勘と努力によって探すことです。粘土質土壌がゴボウの成長に良いかどうかということも含めて、特に二番目は専門にゴボウを栽培している全国の農家の方や各県の農業試験場の技術指導員とのコミニュケーション(情報交換)の場を持つことが重要のように思います。

稲垣 善茂(岡山大学大学院環境生命科学研究科)
JSPPサイエンスアドバイザー
佐藤 公行
回答日:2013-01-17
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