一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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カサノリの再生実験について

質問者:   高校生   羽織
登録番号2809   登録日:2012-12-27
部活の個人研究で、生物の教科書にも載っていた『カサノリの再生実験』をやりたいと思っています。
葉の形が異なるカサノリAとBを用意し、柄の部分と仮根の部分を切断し仮根を交換する実験です。

カサノリを扱うにあたって水槽の準備などはすでに終わり、何が必要なのかもカサノリを栽培した経験のある沖縄美ら海水族館より聞きました。しかし実験の細かいところが分かりません。調べたのですが結果ばかりでした。現在私が分からない点は

①茎を切断する時何を使うのか
②茎と根を交換し再び接合する時どうすればよいか(必要な物があるのか)
③接合する間の保管方法(通常と同じく水槽でいいのか) です。実験経験のある方に細かい実験の流れと注意点を教えてもらいたいです。

また2種類のカサノリ(M種、C種?)の名前と実験を行った方はそのカサノリをどう入手したのかも出来れば知りたいです。

質問が多くなってしまいましたが
よろしくお願いします
羽織さま

 みんなのひろばへのご質問ありがとうございました。担当の柴岡と申します。私はカサノリを見た事はありますが、接ぎ木実験はもとより、育てたことさえありませんので、カサノリについてご研究をなさったことのある石川依久子先生にお願いし、資料を送って頂き、その資料を参考に回答を作ってみました。教科書に載っているカサノリの接ぎ木の実験はヘマリング博士がナポリの研究所で行ったもので、教科書の中のC種もM種も地中海産のカサノリです。教科書と同じ実験は地中海に行かなければ出来ません。石川先生はヘマリング博士の云っていることが本当かどうかを調べるため、日本産のカサノリで実験をなさいました。使ったのは沖縄産のカサノリと富山湾産のホソエガサです。切るのは鋭利なハサミで、カサノリの茎はホソエガサの茎より太いので、ホソエガサの茎を切ってカサノリの茎の切り口に差し込むのは易しかったそうです。そのような実験からヘマリング博士の云っている事は間違っていないことを確かめておられます。石川先生のなさった実験ですと日本でも出来ますが、カサノリは沖縄に採りに行かなければなりませんし、ホソエガサは富山湾で潜水しなければなりません。またカサノリもホソエガサも室内で培養してカサができる少し前の時期のものを使わなければなりません。培養には数ヶ月かかりますし、常に海水中に保たなければなりませんので、接ぎ木実験をするには覚悟が要ります。石川先生は現在はカサノリではない別の海藻を使って研究をなさっておられますが、以前、使ったホソエガサを今でも培養し続けておられるそうです。
JSPPサイエンスアドバイザー
柴岡 弘郎
回答日:2013-01-21
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