一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

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熱帯植物のための加温・加湿について

質問者:   会社員   なってりー
登録番号2819   登録日:2013-02-05
はじめまして、私は熱帯植物の育成を昨年春から始めました。

育てているのは南米や東南アジアの一般的な観葉植物ですが、この冬いくつかの植物が枯れてしまいました。

枯れたものはいづれも最低温度が高め(10度〜15度)のものでした。
私はたかを括って『少々気温が低くてももつだろう』と安易に育てていたのですが、調べると最低温度を下回ると腐るとのことでした。

腐ってしまった(黒ずみブヨブヨになり最後にはしわがれたように)植物はフィロデンドロン・トータムとホマロメナ・ハーレクイン(名前が間違っているかもしれません。ホマロメナ系は情報が少なく正確にはわからないので)です。

トータムは10度を切るようになってから、ホマロメナは5度を切ったあたりからダメになりました。

そこで2つ質問です。

Q1.植物の最低温度を切ると黒ずむメカニズムを教えてください。一度黒ずむと復活するのは無理ですか?

Q2.熱帯植物園のように1年中安定して育てるには何度以上は必要でしょうか?
  経済的な加温方法なども可能であれば教えてください。
(温室ではなく鉄筋コンクリートの室内です。北と東に窓がありますが、方角の割には開口部が広いため明るいです。)
なってりー様

ご質問ありがとうございます。ただ、本コーナーは「植物のふしぎ」に関する質問のコーナーでして、栽培の専門家がおりません。私から簡単にご回答申し上げます。

植物の葉はたくさんの細胞が集まって出来ています。細胞は液体が細胞膜という油の膜で包まれています。油は種類によって異なっています。あるものはバターのような油で、あるものは、天ぷら油のような油です。そう、バターは冷蔵庫でかたまってしまいますが、天ぷら油は固まりませんよね。熱帯植物の細胞膜はバターのような成分でできていて、寒い地方に生える植物の細胞膜は天ぷら油のような成分でできているとお考えいただければ良いと思います。寒くって細胞膜がかたまってしまうと、その細胞は死んでしまいます。リンゴを冷蔵庫にいれても色が変わりませんが、バナナを入れると黒くなってしまうのも同じ現象です。ですから、一度、黒くなった部分はもとには戻らず枯れてしまいます。

熱帯植物は種類によって寒さへの耐性が違いますので何度以上なら平気とは一概に言えません。熱帯植物は面白いものがたくさんありますので、栽培書などを参考にされて、ぜひ栽培を楽しんでください。
JSPP広報委員長
長谷部 光泰
回答日:2013-02-16