一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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液胞プロセッシング酵素について

質問者:   その他   小野しず
登録番号0282   登録日:2005-06-21
液胞プロセッシング酵素の活性を測定したいと思っています。
しかし、なかなか方法がわかりません。
液胞プロセッシング酵素の抽出方法を教えていただきたく質問させていただきました。
小野しず さん
以下の活性測定法は、京都大学大学院理学研究科の西村いくこ先生にご回答を頂きました。
先生からは「活性測定に用いている蛍光プレートリーダーは特殊な機械ですので,なければ蛍光分光光度計を使 ってもらうことになります.蛍光でなく発色で測定できる基質もあるのですが,不安定なためおすすめできません.」とのコメントを頂いております。
この測定法を基本にして、ご自分の状況に合うような方法を確立して下さい。
なお、不明の点があればご遠慮なくご質問下さい。

液胞プロセシング酵素(VPE)活性の測定法

粗酵素の抽出方法
材料:ここではシロイヌナズナのロゼット葉を用いる

抽出用バッファー組成:
50 mM Na-acetate buffer (pH 5.5)
50 mM NaCl
1 mM EDTA
1 mM PMSF(phenylmethylsulfonyl fluoride)
0.1 mM E-64d

操作手順:
1.乳鉢にロゼット葉と液体窒素を入れて破砕する.
2.液体窒素が蒸発した頃に上記の抽出用バッファー(0.2 ml/1枚のロゼット葉)を加える.一旦バッファーは凍結するが,これが解けたら遠心チューブに移す.
3.遠心分離する(10,000 g,30分,4˚C)し,その上清を抽出液(粗酵素液)として用いる.

酵素活性測定

検出器:蛍光用プレートリーダー (励起波長 380 nm, 蛍光波長 460 nmで使用)あるいは蛍光分光光度計.以下は,プレートリーダーを用いる方法.

基質:蛍光基質z-ANN(Ala-Asn-Asn)-MCA (methylcoumaryl-7-amide,大阪・ペプチド研Cat.No 3209-v)を用いる.予め少量のDMSOに溶かしてから,10 mM基質溶液を作製する.検量線用にAMC (7-Amino-4-methylcoumarin,大阪・ペプチド研Cat.No 3099-v)を用いる.

反応バッファー組成:5倍濃縮反応液(5X反応液)を作製する
500 mM Na-acetate buffer (pH 5.5)
500 mM DTT

測定手順:
1.96穴プレートのウェルに5X反応液(0.04 ml)に粗酵素液(約0.03 ml)と水を加え,全量を0.2 mlに調整する.粗酵素量は酵素活性の高さに応じて調整する.
2.10分間,37 ˚Cでプレインキュベートする.
3.10 mM z-ANN-MCA(0.004 ml,終濃度0.2 mM)を加えて,ピペットで軽く混ぜて反応を開始する.
4.検出器にセットし,蛍光強度の測定を行う.
5.粗酵素液のタンパク質量を測定する.
5.AMCで検量線を作成する.
6.酵素の比活性を計算する.
以上

 西村いくこ(京都大学大学院理学研究科)
JSPPサイエンスアドバイザー
 今関 英雅
回答日:2009-07-03
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