一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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切った葉の退色

質問者:   会社員   まりん
登録番号2829   登録日:2013-03-04
初めて質問します。
切った葉を水に挿し、室温で暗所に置いておいたら葉が黄色くなってきました。
葉としては生命を維持することに全力を注ぐと思うので、新たなクロロフィルが生合成されなくなるのは分かるのですが、すでにあったクロロフィルを分解する理由が分かりません。(遮光していたので、光による分解ではないと思われます)
クロロフィルを分解した方が延命に有利な理由があるのでしょうか?
それとも生合成と分解のバランスをとって緑色だったのが、前者がストップしたから単に黄色に見えるようになっただけなのでしょうか?
まりん さん

ご質問をありがとうございました。切りとった葉を暗所においておくと、たとえ水分が十分であったとしても、黄色くなってゆくのは一般的なことです。この状態では、光合成によるエネルギーの注入がありませんので、合成的な生理活性は低下し、合成と分解のバランスで成り立っている代謝は全体として分解の方向に向かい、クロロフィルも分解されて葉は黄化してゆきます。クロロフィルとカロテノイドの分解速度の差の例に見られるように、分解の速度は化合物によって異なりますが、クロロフィルを分解することが細胞の延命に特に重要であるかどうかは解析が必要な問題だと思います。切花の場合、植物の種類によっては、葉の黄化が進行しているときでも、花は展開して色づきを増してゆくことがありますね。
JSPPサイエンスアドバイザー
佐藤 公行
回答日:2013-04-02
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