一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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植物に取り込まれたアミノ酸はどうなるのか?

質問者:   一般   さとし
登録番号2835   登録日:2013-03-28
アミノ酸が含まれている肥料が多くあります。
作物がアミノ酸を吸収したのちのことは、質問の1155に詳しくありました。

種類によると思いますが、直接吸収したアミノ酸と光合成によって合成されたアミノ酸は同じように植物内で使用される場合もあるのでしょうか?それとも、一度分解されて再合成されるものなのでしょうか。
さとし さま

本コーナーをご覧下さりありがとうございます。この質問については、植物の栄養に詳しい東北大学の山谷先生が下記の回答文を用意して下さいました。ご参考にして下さい。


(山谷先生からの回答)
ご質問のように有機質肥料にはアミノ酸が含まれていますが、アミノ酸の効果は、作物の種類によって若干異なるようです。この曖昧な書き方は、科学的にしっかりした結果が必ずしも出されていないことによります。イネの場合、有機質肥料と無機質の化学肥料の施用効果が詳細に調べられていて、その結果では、イネが吸収した窒素量に成育や収量が依存することが示されていまして、有機質肥料と無機質肥料の差はないことがわかっています。

さて、根で吸収されたアミノ酸は、恐らく植物が持っている通常の代謝経路で利用されると考えられます。ただし、タンパク質を構成するアミノ酸は20種類もありますので、1種類のアミノ酸だけを大量に植物に与えた場合は、植物の中でアミノ酸同士、あるいは光合成でつくられる糖類とのバランスをとるために、他の化合物に代謝されるものと考えられます。この点も、例えば外から与えるアミノ酸を同位体等で標識して、植物体内で合成されたアミノ酸と、外から与えたアミノ酸の代謝がどのようになっているか詳細に調べる必要がありますが、十分な成果はこれまでに得られていません。

山谷 知行(東北大学国際高等研究教育院)
JSPPサイエンスアドバイザー
佐藤 公行
回答日:2013-04-22
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