一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

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花粉の飛散

質問者:   会社員   がつもん
登録番号2839   登録日:2013-04-13
スギとヒノキとモミの花粉の飛散時期が微妙に違いますが、何か理由はありますか?
がつもん様

質問コーナーへようこそ。歓迎いたします。難問というか、思いもしなかった質問ですね.花粉が飛散するということは、これらの植物が開花するということですから、開花の時期が微妙に違うのはなぜかということを尋ねておられることと同じですね。
どうしてスギとヒノキとモミの開花時期の違いが気になったのか分かりませんが、花粉アレルギーとの関連で注目されたのでしょうか。お答えするとしたら、「この三種は全く別々の植物だからです。」と言うより他はありません。もしかすると、この三種の植物は同じ仲間と思っておられるのではないでしょうか。スギ(Cryptomeria japonica)はスギ科、ヒノキ(Chamaecyparis obtusa)はヒノキ科、モミ(Abies firma)はマツ科の植物です。分類の上からいうと、お互いに近い親類とは到底いえません。
ウメ(バラ科)とニセアカシヤ/ハリエンジュ(マメ科)とモクレン(モクレン科)の開花はどうして同じ時期ではないのかと問うのと同じことです。植物にとって開花は子孫を残すための大切な過程です。夫々の植物はながい進化の道程のなかで、夫々が生育する環境に適した形や機能を獲得してきました。開花する時期や受粉の方法についても同じです。だから、同じ時期に開花るものもあります。因にスギは3〜4月、ヒノキは4月、モミは5〜6月が花粉飛散(開花)のピークとされています。これらの植物の開花の時期が一番影響を受けるのは温度でしょう。サクラの開花の時期を積算温度で決めるように(登録番号2405参照)、スギの花粉の飛散時期は1月1日からの日累積最高気温が200℃を越えると飛散が始まり、350℃以上になるとピークを迎えるのだそうです。(詳しくはWEB上でスギ花粉飛散ピーク時間をご覧下さい。)生育地(生育環境)が異なれば同じ種でも開花の時期は異なります.サクラのように。
JSPPサイエンスアドバイザー
勝見 允行
回答日:2013-04-22
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