一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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サクラの色の変化について

質問者:   高校生   かすみ
登録番号2856   登録日:2013-05-05
初めまして。
私は高校の科学部に所属しています。
サクラの種類の中でも、開花したときは白っぽい色をしているものが、だんだんとピンク色へ変化していく種類があることを知り、なぜ変化していくのか不思議に思い調べています。
物質の変化だと考え、教科書などに載っている光合成色素の抽出の方法で試しましたがうまくいかなかったので、調べているうちに、こちらのHPで主成分はアントシアンであることがわかり、塩酸メタノールで抽出するということがわかりました。今、抽出したものを吸光度計で測定しました。
質問したいことは、4つあります。1つは、どうして塩酸メタノールで抽出できるのか。2つめは、塩酸メタノールで抽出されたものはアントシアンでよいのか。3つめは、吸光度で得た値でアントシアンの濃度と言ってしまってよいのか。4つめは。これはすでに一般的によく知られていることで、この実験に意味があったのかどうかです。
どうぞよろしくお願いいたします。
かすみ様
 みんなおひろばへのご質問ありがとうございました。頂いたご質問の回答を植物色素の研究をなさっておられる名古屋大学の吉田久美先生にお願い致しましたところ、以下の様な回答をお寄せ下さいました。きっと、ご参考になると思います。


吉田先生のご回答

植物にはいろいろな色素がありますが、花の赤〜紫〜青色はアントシアニンの場合が多いです。
サクラの花の色も、うすいのですが、アントシアニンによります。

1)アントシアニンは、中性付近では不安定な物質で、容易に水和反応がおこり退色します。
強酸性条件下で安定なため、塩酸-メタノールで抽出するのが常法です。

2、3)この条件で抽出するともちろん他の植物成分も抽出されますが、赤色を示すものはアントシアニンだけと考えて支障がないので定量は可能です。
花弁の色の濃い薄いは、一般的には、含まれるアントシアニンの量によりますので、塩酸メタノールで抽出するのは正解です。

4)知られていることでも、実際に実験してみることは意義があると考えています。
研究の緒端は、先人の結果の追試から始まることが多いですし、そこから独自に見つけ出せることもあります。

どうぞ、いろいろ考え、調べ、実験をしてください。

吉田 久美(名古屋大学)
JSPPサイエンスアドバイザー
柴岡 弘郎
回答日:2013-05-21
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