質問者:
一般
アボカド侍
登録番号2857
登録日:2013-05-05
アボカドが大好きでよく買って食べますが、青色のアボカドが食べられるようになると黒色へ変化しますが、なぜ黒く変色するのでしょうか?みんなのひろば
アボカドの変色と軟化について
又、買ったアボカドでたまに青いまま柔らかくなってしまうのもあります。
なぜ青いまま柔らかくなってしまうのでしょうか?
教えて下さい。
よろしくお願いします。
質問コーナーへようこそ。歓迎いたします。此の度は下記のように他にも類似の質問を受けましたので、まとめて回答させていただきます。どちらの質問もアボカド果実の追熟に関することで、果皮の変化と果肉の軟化の問題です。一般に果実(くだもの)は収穫後、色付き、軟らかくなり、匂いが強くなるなどのいわゆる「熟す」過程があります。これを追熟と呼んでいます(登録番号1572参照)。アボカド果実では匂いは関係がなく、色の変化と軟化が起こります。アボカドを半裁すると、内部の中心に種子がありその周囲を肉厚の果肉がとり囲み、一番外側は果皮となっています。追熟前のアボカドでは種子に近い果肉ほど黄色が強く、次いで淡い緑を含んだ黄色の部分があり、果皮の下の部分は濃い緑色で、果皮は緑色です。アボカドの色素に関する研究はたくさんありますが、ここでは、ニュージーランドの研究者達の報告(*)を参考にして概説します。果皮と果肉および油脂(オイル)に含まれる色素はαーカロテン、βーカロテン、ルテイン、ビオラキサンチン、ゼアキサンチン、ネオキサンチン、アンテラキサンチンといったカロチノイド系色素とクロロフィルa, b、フェオフィチンa,b、クロロフィライドa,bといったクロロフィル系色素です。これらの色素は果皮中に最も多く含まれています。クロロフィライドa,bはオイルには含まれません。果皮と果肉に含まれるのカロチノイドの総量は追熟の過程で減少します。果肉のカロテノイドの含量は果皮の10%位と低く、その中ではルテインが一番多く、追熟の過程を通して目立った量的変化はないようです。他のカロテイノイド色素はきわめて低い濃度のままやはり変化はないようです。クロロフィル色素の総含量は果皮の方が多く、果肉では色合いに相応して、種子に近い部分は一番少なくなっています。追熟が進行するに従って、果肉は軟化しますが、それに伴って果皮は緑色から黒紫色へと変化します。これはアントシアニンのシアニジン–3-O-グルコシドの含量が増加し、同時にクロロフィライドaが消失することによるものです。分析に用いたHassという品種では(20℃に保持)収穫後6日目以降からアントシアニンの増加が見られます。つまり、合成が始まっているということです。
以上のことを簡単にまとめてしまうと、アボカド果実の黄色はカロテノイド系色素、緑色はクロロフィル系色素に由来し、追熟の過程において、果皮ではアントシアニンが合成されることによって、黒紫色を呈するようになる。
次に果肉の軟化ですが、どの果実でも果肉が軟らかくなるのは、果肉を構成している各細胞の細胞壁が緩くなるからです。細胞壁は主としてセルロースとペクチン質からできています(細胞壁については登録番号0233, 0246参照)。したがって、セルロースやペクチン質が分解されると、細胞壁は構造的に弱くなり、細胞のつながりは緩くなって果肉の軟化が起こります。追熟の過程ではこれらの構成分を分解する酵素が出来てきます。
『セルロースはセルラーゼ、ペクチンはポリガラクチュロナーゼという酵素で分解が起きることが分かっています。』
果皮が緑色のまま変化せず、果肉だけ軟化するということですが、私もアボカドが好きでよく食しますがそのような例は経験したことがありません。『サイエンスアドバイザーの一人である今関英雅先生のご教示によると、それは品種の違いによるものだそうです。そこで調べてみました。カリフォルニア大学のAgriculture and Natural Resources のデータをみると、登録されているアボカドの品種は100以上あり、その内、熟すと黒くなるものは44ありました。しかし、世界中で生産されているアボカドの80%は黒くなるものだそうです。多く出回っているのはHass品種です。緑色のままのものは多分アントシアニンが合成されないのでしょう。なお、アボカドを果皮の色でみると、緑色、暗緑色、紫色、黒色の4つのグループにわけられるそうですが、ここでは、紫色と黒色を合わせて、黒いアボカドとしました。』
なお、アボカドを含めて多くの果実の追熟は植物ホルモンのエチレンによって起こります(登録番号1395, 1668参照)。
以上のことを簡単にまとめてしまうと、アボカド果実の黄色はカロテノイド系色素、緑色はクロロフィル系色素に由来し、追熟の過程において、果皮ではアントシアニンが合成されることによって、黒紫色を呈するようになる。
次に果肉の軟化ですが、どの果実でも果肉が軟らかくなるのは、果肉を構成している各細胞の細胞壁が緩くなるからです。細胞壁は主としてセルロースとペクチン質からできています(細胞壁については登録番号0233, 0246参照)。したがって、セルロースやペクチン質が分解されると、細胞壁は構造的に弱くなり、細胞のつながりは緩くなって果肉の軟化が起こります。追熟の過程ではこれらの構成分を分解する酵素が出来てきます。
『セルロースはセルラーゼ、ペクチンはポリガラクチュロナーゼという酵素で分解が起きることが分かっています。』
果皮が緑色のまま変化せず、果肉だけ軟化するということですが、私もアボカドが好きでよく食しますがそのような例は経験したことがありません。『サイエンスアドバイザーの一人である今関英雅先生のご教示によると、それは品種の違いによるものだそうです。そこで調べてみました。カリフォルニア大学のAgriculture and Natural Resources のデータをみると、登録されているアボカドの品種は100以上あり、その内、熟すと黒くなるものは44ありました。しかし、世界中で生産されているアボカドの80%は黒くなるものだそうです。多く出回っているのはHass品種です。緑色のままのものは多分アントシアニンが合成されないのでしょう。なお、アボカドを果皮の色でみると、緑色、暗緑色、紫色、黒色の4つのグループにわけられるそうですが、ここでは、紫色と黒色を合わせて、黒いアボカドとしました。』
なお、アボカドを含めて多くの果実の追熟は植物ホルモンのエチレンによって起こります(登録番号1395, 1668参照)。
JSPPサイエンス・アドバイザー
勝見 允行
回答日:2013-05-29
勝見 允行
回答日:2013-05-29