質問者:
教員
松本 浩
登録番号2883
登録日:2013-06-20
高校で生物の教員をしています。みんなのひろば
イシクラゲのカロテノイド
先日、色々な生物の光合成色素をペーパークロマトグラフィーで分離する実験を行いました。
シアノバクテリアとしてイシクラゲを用いたところ、溶媒前線に近いところに黄色の色素とともに赤い色素が分離されました。
おそらくカロテノイド系色素だとは思いますが、教科書や図説にはβカロテンとしか記載がありません。
具体的な色素名が分かれば教えてください。
また、参考文献などがあればあわせて教えてください。
松本 浩 様
ご質問をありがとうございました。
この質問への回答は日本医科大学の高市先生にお願いしました、実は、先生は、最近、イシクラゲ(Nostoc commune)のカロテノイドについて論文を書かれております。
高市先生から下記のような回答文をいただきましたので、ご参考にして下さい。なお、先生から論文ファイルの提供を受けておりますので、必要でしたらメールで転送します。また、先生が編著された下記の本が参考になると思います。
(参考文献)
高市真一編 カロテノイド-その多様性と生理活性(裳華房-2006年刊)
(高市先生からの回答)
高校の生物教科書に載っているペーパークロマトグラフィー(展開:石油エーテルとアセトン 10:1)を用いて分離したと思います。イシクラゲのもつ色素成分と、その構造・性質から考えますと、β-カロテンとキサントフィルの間に見えた赤色色素はエキネノン(β-カロテンにケト基が結合)です。イシクラゲは多種類のカロテノイドをもっており、ペーパークロマトグラフィーでの分離は大変です。シリカゲル薄層クロマトグラフィー(展開:石油エーテルとアセトン 7:3)の方が分離が良いので、他の光合成生物のもつ色素との比較はしやすいでしょう。
イシクラゲの色素成分は私たちが同定しました(下記の論文)。
S. Takaichi, T. Maoka, M. Mochimaru (2009) Unique carotenoids in the terrestrial cyanobacterium Nostoc commune NIES-24: 2-hydroxymyxol 2'-fucoside, nostoxanthin and canthaxanthin. Current Microbiology 59: 413-419.
高市 真一(日本医科大学 生物学教室)
ご質問をありがとうございました。
この質問への回答は日本医科大学の高市先生にお願いしました、実は、先生は、最近、イシクラゲ(Nostoc commune)のカロテノイドについて論文を書かれております。
高市先生から下記のような回答文をいただきましたので、ご参考にして下さい。なお、先生から論文ファイルの提供を受けておりますので、必要でしたらメールで転送します。また、先生が編著された下記の本が参考になると思います。
(参考文献)
高市真一編 カロテノイド-その多様性と生理活性(裳華房-2006年刊)
(高市先生からの回答)
高校の生物教科書に載っているペーパークロマトグラフィー(展開:石油エーテルとアセトン 10:1)を用いて分離したと思います。イシクラゲのもつ色素成分と、その構造・性質から考えますと、β-カロテンとキサントフィルの間に見えた赤色色素はエキネノン(β-カロテンにケト基が結合)です。イシクラゲは多種類のカロテノイドをもっており、ペーパークロマトグラフィーでの分離は大変です。シリカゲル薄層クロマトグラフィー(展開:石油エーテルとアセトン 7:3)の方が分離が良いので、他の光合成生物のもつ色素との比較はしやすいでしょう。
イシクラゲの色素成分は私たちが同定しました(下記の論文)。
S. Takaichi, T. Maoka, M. Mochimaru (2009) Unique carotenoids in the terrestrial cyanobacterium Nostoc commune NIES-24: 2-hydroxymyxol 2'-fucoside, nostoxanthin and canthaxanthin. Current Microbiology 59: 413-419.
高市 真一(日本医科大学 生物学教室)
JSPPサイエンスアドバイザー
佐藤公行
回答日:2013-07-02
佐藤公行
回答日:2013-07-02