一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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果樹の根

質問者:   一般   ユノディエール
登録番号2885   登録日:2013-06-26
果樹の生育において 地上部は新芽が動き出し、開花・展葉そして結実・肥大・成熟などと季節ごとに姿を変えていきますが、地下部の根は、一年を通じてどのような活動をしているのでしょうか。
ユノディエール様

 みんなのひろばへのご質問ありがとうございました。頂いたご質問の回答を長年根の生長についての研究をなさって来られた谷本英一先生にお願しましたところ、果樹についてのご質問だと云うことで、農研機構・果樹研究所の草葉新之助先生に回答を依頼して下さり、以下の様な回答を頂く事ができました。ご参考になるものと思います。



草葉新之助先生からのご回答

果樹の根は、他の植物と同様に水や養分の吸収を担っていますが、1年生作物に はない特徴として、貯蔵養分(主にデンプン)の貯蔵器官としても機能しています。果樹は春になると開花、新芽の伸長が始まりますが、開花、新芽の伸長に 必要な炭水化物等の養分は、前年の秋から冬(主に果実が収穫された後)に根や 幹、枝などに蓄積します。前年に蓄えた炭水化物を利用して春に開花、新芽の伸長が起きるわけです。果樹の根は、春から初冬まで伸長しますが、主に春〜夏、秋〜初冬の2回(あるいは春、夏、秋の3回)伸長します。このうち、春〜夏の根は枝葉が伸びたり 果実が生長するのに伴って伸長し、主に養水分の吸収を担っていると考えられます。秋〜初冬に伸長する根は、もちろん養水分の吸収も行いますが、貯蔵養分の 蓄積にも貢献していると考えられます。

草葉 新之助(農研機構・果樹研究所)
JSPPサイエンス・アドバイザー
柴岡 弘郎
回答日:2013-07-03
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