一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

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木が草へ進化した証拠は

質問者:   その他   二上山の風
登録番号2892   登録日:2013-07-03
 植物は木本から草本へ進化したと聞いています。この考えは正しいのでしょうか。たしかに草本のほうが木本より気候変動などの環境変化にすばやく遺伝子を変化させ生き延びることができるように進化しているように思えますが、被子植物の進化の過程を示す化石の中に、木本が草本へ変わっていく過程を見ることができるような例はあるのでしょうか。あるいは現実にそんな植物があるのでしょうか。
二上山の風様

ご質問承りました。
「植物」ですが、ここでは被子植物(花の咲く植物)としてお答えします。被子植物の祖先である裸子植物は現生(針葉樹類、イチョウ、ソテツ類、グネツム類)、化石ともに全て木本であること、被子植物のもっとも基部で分枝したアンボレラという種が木本であることから、被子植物の共通祖先は木本であったと推定されています。草本と木本のどちらが環境に適応しているかはいちがいに言えません。今日まで両方が生き延びているということは、状況によって、有利さが変わるからだと思われます。木本から草本への進化はいろいろな分類群で起きています。典型的なのはキク科で、起源地である南米ではキク科の基部にあたる系統があり、それぞれ木本の種が多いですが、日本などでは草本です。
JSPP広報委員長
長谷部 光泰
回答日:2013-07-17