一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

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[Q1320] の回答について

質問者:   一般   すず
登録番号2902   登録日:2013-07-20
[Q1320] 質問:酸素を多くつくる植物は、ありますか?
登録番号1320の回答についてさらに質問です。

ケナフ近種?のローゼルとシソアオイを育てています。
どこかで二酸化炭素吸収が多いと聞いたからですが、育て終えた後、食べられなかった部分(茎や枝)を土に還す分には燃やして廃棄よりも二酸化炭素は増えないですよね?

我が家ではダンゴムシなどにお願いしています。

コンポストでも良いのでしょうか?
(好気性菌、嫌気性菌にもよりますか?)
登録番号1320に関して、再度の質問をお寄せ下さりありがとうございます。
二酸化炭素削減の問題に引きつづき関心をもっておられるとのことに敬服いたします。
ローゼル(Hibiscus sabdariffa)とシソアオイ(Hibiscus acetosella)は、ともにアオイ科フヨウ属の植物で、ケナフの仲間ですね。

ところで、植物が営む光合成の過程で作られる有機化合物は、食物としてヒトに利用されようが、途中にダンゴムシが介在して自然に分解されようが、好気性菌あるいは嫌気性菌を利用するコンポスト化の過程を経て分解されようが、普通の環境下では、一定の時間が経った後には二酸化炭素と水に分解されてしまいます。地球環境への負荷という意味においては、この結果は火を付けて燃やしてしまう場合と同一です。二酸化炭素の削減に貢献できるのは、植物の生育で得られた有機化合物をなるべく分解させずに長時間たくわえておくことです。石炭や石油がその例だと言えますが、これを人工的に実現することは容易ではないように見えます。

有機化合物の分解過程を制御し、いわゆるコンポストの状態で中塾堆肥(有機肥料)として植物の生育に利用することは、土壌の改良をも含めて肥料としての効果が大きいと思います。また、ある場合には、アミノ酸など分解途中の有機化合物が植物体に吸収されることもあります。ただし、肥料としての有機化合物の利用はごくごく限定的で、もし利用された場合にはその分だけ二酸化炭素が生長に使われないことになるので、二酸化炭素削減の目的には合わないことになります。

植物の遺体を土に還しておくことは、燃やして廃棄するよりも大気中への二酸化炭素の放出が緩慢になり、また、燃焼飛散物による汚染がないので、地球に優しいと言うことになるのでしょうか。土壌・肥料という視点からのメリットは大きいと思いますが、一般に、土壌中での発酵分解(生ものの分解)は植物の生育にとって有害です。
JSPPサイエンスアドバイザー
佐藤公行
回答日:2013-07-29