一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

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豆のさやの膨らみについて

質問者:   一般   myosin
登録番号2960   登録日:2013-09-16
今年の夏にベランダの家庭菜園で豆を育てました。
不思議に思ったことがあるので教えてください。
さやは豆の部分が膨らんでいますが、豆が膨らんで、さやが押されるからその部分が広がるのでしょうか?
それとも、さやが広がって空間が出来るから豆が大きく育つのでしょうか?
どうぞよろしくお願いいたします。
みんなのひろばへのご質問ありがとうございました。
頂いたご質問の回答を大阪市立大学の保尊先生にお願い致しました所、以下の様なご回答をお寄せ下さいました。ご回答にもありますように、お考えになられた可能性はどちらも正しいようです。

保尊先生からのご回答

myosinさま。

豆のさや(莢、鞘)はほんとうにおもしろい形をしていますね。
莢は、雌蕊(めしべ)の基部の子房が膨らんだもので、胚嚢の受精後に胚珠が種子(豆)として発達するのを守り助ける役割をしています。豆と莢の発達過程をたどってみると、まず初めに莢が形成され、大きく成長します。この時、豆はまだとても小さいままです。
その後、莢の中で豆が少しずつ成長して行きます。食用にするサヤエンドウがちょうどこの状態です。豆がさらに成長すると、莢全体の大きさはあまり変わりませんが、厚みが顕著に増加します。この過程では、豆と莢の間にはほとんどすき間がありませんので、お考えのように、豆の発達に伴って莢が押されて膨らむことになります。よく成熟したエダマメがこの状態でしょうか。その後の登熟期には、豆は水分が抜けて硬くなり、むしろ縮んで行きます。一方、莢の大きさはほとんど変わりませんので、両者の間にすき間ができます。このように豆と莢の発達・成熟過程を見ると、お考えの2つの可能性は二者択一ではなく、過程前半ではまず莢が成長して豆が育つ空間を作り、その後に豆が発達して莢を押して膨らませる、ということになります。
今後もベランダ菜園を楽しんでください。

保尊 隆享(大阪市立大学大学院理学研究科)
JSPPサイエンス・アドバイザー
柴岡 弘郎
回答日:2013-10-02