一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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限界暗期の定義

質問者:   教員   bios
登録番号2964   登録日:2013-09-22
大学の入試問題を解いていて,暗期の長さと開花率との関係のグラフから限界暗期の長さを求めるというのがあったのですが,限界暗期というのは,1個体でも花芽形成するようになる時の暗期の長さなのでしょうか,それとも,開花率が50%(50%の個体が開花)になる時の暗期の長さなのでしょうか。教えていただければ幸いです。よろしくお願いします。
bios 様

「ひろば」に質問をお寄せくださり有り難うございました。

植物の光周反応は、時間に関してはかなり正確で、15分程度の暗期の長さの違いが感知され、すべての個体が栄養成長を続けるか、それとも花成の過程に移行するかが決まるような例が間々あるようです。

入試問題で実験データーがどのように示されているかわかりませんが、最初の1個体の花芽形成であっても、遺伝的または生理的な特別の理由によるものではないと見なされる場合には(例えば、その個体の場合だけが特別に早く、他の個体の花芽形成がはるかに遅れるなどのことがなければ)、「限界暗期」としみなして良いのではないでしょうか。花芽形成の時期にバラツキの幅が広く、反応が長期に及ぶ場合には、花芽形成50%の場合の暗期の長さを「平均的な限界暗期」として取り扱うこともできるかと思います。なお、一般には、花芽の分化と開花との間には複雑な生理過程が介在するので、開花率としての扱いには慎重さが必要ではないかと思います。
JSPPサイエンスアドバイザー
佐藤 公行
回答日:2013-10-02
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