質問者:
その他
アルバトロス
登録番号2981
登録日:2013-10-30
趣味で料理をしております。先日渋抜きの柿を頂きました。渋抜き方法は柿の芯を抜き焼酎を注入して保存して渋抜きしたそうです。それは大層甘くて美味しかったのでジャムを作ろうと思いました。通常のジャムを作る方法でしました。加えたのは砂糖(柿の重さの約30%程度)レモン汁、蜂蜜でした。皮を剥き柿をペースト状にしたあと熱してジャムつくりに入りました。最初は甘いジャム様になりましたが、段々渋さが増してきて、ジャムが出来上がった時は渋くて食べれたものではありませんでした。この間に何が起きたのでしょうか?柿タンニンが砂糖と熱することにより化学変化を起こしたのでしょうか。非常に興味がありますので教えてください。医師ですので多少の科学的知識は持ち合わせておりますので化学構造の変化など解ったら教えてください
みんなのひろば
渋抜き柿がまた渋くなった理由
アルバトロス さん:
みんなの広場質問コーナーのご利用ありがとうございます。
渋柿の渋みはカキタンニンというタンニンが原因です。カキタンニンはカテキンというフラボノイドの一種がいくつか重合したものですが、重合しているカテキンの種類や重合度などが定まったものではなく可溶性です。したがってカキの品種によってカキタンニンも組成、性質などが少しずつ違います。「渋み」は、可溶性のカキタンニンが口中のタンパク質などと結合したことによる収斂的効果とされ、0.1%以上で渋みを感ずるとされています。渋柿を湯漬け、アルコールや二酸化炭素などで処理すると組織内に生成するアセトアルデヒドが架橋剤となってさらに重合して不溶性になります。「渋抜き」と言われていますがタンニンが無くなったのではなく不溶性になった(可溶性が0.1%以下になった)ため渋みを感じなくなっただけです。ところが不溶性になったカキタンニンも定まった構造のものでなく、渋抜きの方法によりいろいろな重合度や架橋状態の混合物で、その中には酸や加熱によって再び可溶性に戻るものがあります。岐阜県研究機関の試験結果によると、渋抜きした柿も、渋抜きの方法、品種によって加熱して可溶性タンニンが0.1%以上になる(渋くなる)ものがあります。
ご質問にあるジャム作りに使われた渋抜き柿では、レモン汁による酸と加熱によって不溶性タンニンが再び可溶性タンニンに変化し、次第に可溶性タンニンが増加したためと思われます。ただ、残念なことにどのような構造の可溶性カキタンニンが、どのような構造の不溶性タンニンに変化したのか、そして、どのような化学変化(単なる加水分解とは思えません)で可溶性タンニンになったのかは、現段階では化学反応として提示できるものではありません。
みんなの広場質問コーナーのご利用ありがとうございます。
渋柿の渋みはカキタンニンというタンニンが原因です。カキタンニンはカテキンというフラボノイドの一種がいくつか重合したものですが、重合しているカテキンの種類や重合度などが定まったものではなく可溶性です。したがってカキの品種によってカキタンニンも組成、性質などが少しずつ違います。「渋み」は、可溶性のカキタンニンが口中のタンパク質などと結合したことによる収斂的効果とされ、0.1%以上で渋みを感ずるとされています。渋柿を湯漬け、アルコールや二酸化炭素などで処理すると組織内に生成するアセトアルデヒドが架橋剤となってさらに重合して不溶性になります。「渋抜き」と言われていますがタンニンが無くなったのではなく不溶性になった(可溶性が0.1%以下になった)ため渋みを感じなくなっただけです。ところが不溶性になったカキタンニンも定まった構造のものでなく、渋抜きの方法によりいろいろな重合度や架橋状態の混合物で、その中には酸や加熱によって再び可溶性に戻るものがあります。岐阜県研究機関の試験結果によると、渋抜きした柿も、渋抜きの方法、品種によって加熱して可溶性タンニンが0.1%以上になる(渋くなる)ものがあります。
ご質問にあるジャム作りに使われた渋抜き柿では、レモン汁による酸と加熱によって不溶性タンニンが再び可溶性タンニンに変化し、次第に可溶性タンニンが増加したためと思われます。ただ、残念なことにどのような構造の可溶性カキタンニンが、どのような構造の不溶性タンニンに変化したのか、そして、どのような化学変化(単なる加水分解とは思えません)で可溶性タンニンになったのかは、現段階では化学反応として提示できるものではありません。
JSPPサイエンスアドバイザー
今関 英雅
回答日:2013-11-06
今関 英雅
回答日:2013-11-06