一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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花の色合いと季節

質問者:   一般   佐々木
登録番号2984   登録日:2013-11-02
花屋で働いています。
花束などを作る上で花の色合わせは重要なのですが、季節によって花の色のトーンが違うことに気がつきました。
たとえば春はスイートピーやラナンキュラスのパステルカラーが鮮やかで、秋はダリアやキクのシック色合いが特有です。
このほかにも夏の花、特に暑い地域の花は目がチカチカするような極彩色が多いと思います。
季節が花の色に影響を与える要素とは一体何なのでしょうか。
佐々木ゆり子様
みんなのひろばへのご質問ありがとうございました。頂いたご質問の回答を花の色のご研究をなさっておられる名古屋大学の吉田久美先生にお願いいたしましたところ、以下の様な回答をお寄せ下さいました。お役に立てば幸いです。

吉田先生からのご回答

ご質問をありがとうございます。
私、色と発色機構は専門なのですが、環境条件と発色については、
きちんと研究しておりませんので、ストレートにお返事できませんが、
下記のことは言えると思います。

1)園芸用の花は、人間が選択して色や大きさを育種してきた経緯があります。
そのなかで、季節のみならず、地域や国によっても好まれる花色の傾向は異なるためそれに併せた花を栽培して出荷します。
さらに、寒い季節には、暖色系の花が好まれ、暑い季節には、反対に涼しげに見える花が好まれます。
日本では、あまりどぎつい花色は好まれませんが、海外では、ショッキングピンクの花が好きな地域もあります。
花色と季節にはそのような人為的なものがあると考えます。

2)野生の人の手の入っていない花の色については、別の観点もあります。
高山に青系の花が多く、熱帯に赤色の花がおおいと言われます。
ひとつには、虫媒あるいは鳥媒する動物の視覚と花色との関係があるかと思います。
もうひとつは、光の強度(紫外線量)との関係もあるのではと考えます。
多くの花色素は、紫外線から植物を防御する機能も最近の研究でわかってきました。

吉田 久美(名古屋大学)
JSPPサイエンス・アドバイザー
柴岡 弘郎
回答日:2013-11-29
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