一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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タケの内部の気体の組成

質問者:   一般   eiji
登録番号2988   登録日:2013-11-09
タケは内部が空洞ですがそこに存在する気体の組成を教えてください。またその組成は温度とか成長の度合いによって変化しますか。酸素とか炭酸ガスがあるとすればどこから生成するのでしょうか。
eiji さま



みんなの広場質問コーナーのご利用ありがとうございます。

タケ節間の空洞内の気体は基本的には空気と考えられています。タケノコは皮(稈鞘)で覆われていますが、稈(茎、食べるところ)は節と短い節間とからなっており、節間にはすでに空洞があります。稈鞘は葉ですから節から出ていて、タケノコの表面側(実は葉の裏側―下側―)には気孔があり葉組織とはガス交換ができるようになっていますし、稈鞘と稈鞘の重なった部分は空気が自由に入りますから若い稈は空気と接しています。若い稈はリグニン化していないため外気との交換も容易で、節間の空洞には空気が入っていることになります。タケノコの成長は節間の伸長で、それに伴って空洞も広くなりますが空気は稈や稈鞘を介して入り込むようです。岡山大学の研究調査によれば、一般的な傾向として、昼間光合成の盛んなとき(稈鞘や稈には葉緑体があり光合成をおこないます)には空洞内二酸化炭素の濃度は減少し、酸素濃度がそれに見合うだけ増加することが明らかにされています。夜間では呼吸作用のため空洞内の二酸化炭素濃度は上昇します。また、空洞内の酸素、二酸化炭素の濃度は、昼夜ばかりでなく、成長段階、一本の稈でも下部と上部などによって変化しており、二酸化炭素は500ppmから75,000ppm位の範囲で変動していることが示されています。

稈鞘の気孔については登録番号1583を、節間空洞内のガス測定結果に関しては岡山大学の研究結果 http://www.espec.co.jp/corporate/csr/kenkyu/data/h17/09.pdf をご覧ください。
JSPPサイエンスアドバイザー
今関 英雅
回答日:2013-11-27
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