一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

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とうもろこしの甘い理由

質問者:   中学生   やの
登録番号2993   登録日:2013-11-24
学校で卒業論文を書く宿題が出てるんですけどその参考にしたいので教えてください。

トウモロコシの甘い理由ってなんですか?
何の成分で甘くなっているのですか?
どこの部分が甘いのですか?

一番最後の質問はいろんなサイトで調べたのですが先の方が甘い、根元の方が甘いという違う意見が出てきたのでホントの事を知りたいです。
やの さん

ご質問をありがとうございます。「トウモロコシ」に関するテーマで中学校の卒業論文を書かれるとのこと、大変興味があります。ご質問は食用にするトウモロコシの穂の部分についてのことと受け取り、回答させていただきます。

(1)まず、トウモロコシが甘い理由については、「その部分に糖類が貯まっているから」とお答えします。

(2)分析の結果によると、甘さの原因になっている糖類の主成分は、多くの場合、ショ糖(蔗糖)のようです。ただし、ショ糖以外に、果糖や葡萄糖(グルコース)の場合もあり、麦芽糖が含まれることもあるようです(成分の組成は、品種や栽培条件、成熟段階によって大きく変わります)。

(3)ショ糖などを貯めている部分は、主に、胚の発芽と初期の発生を助けるはたらきをする胚乳組織です。ここで問題になるのは、この組織にどのような仕組みで、どんな理由でショ糖が貯まるかということですね。ショ糖は、葉で営まれる光合成でつくられて、種子の部分に運ばれ、最終的にはそこで進行するデンプンやタンパク質の合成のための材料となります。このため、運び込まれる速さがデンプンなどの合成に使われる速さを上回る場合には、ショ糖の蓄積がおこることになります。トウモロコシは「とれたての方が美味しい」とか、「朝どりしたものが美味しい」とか言われたりするのは、このような代謝のバランスに関係した話です。そもそもトウモロコシが甘いのは種子がまだ完熟に至らない段階においてですね。

私は、トウモロコシを食べるとき、根元の部分が美味しいか先端の方が美味しいかを何時も気にしております。しかし、残念ながらまだこのことについては結論に達しておりません。この問題は上に述べたバランスに関係することですので、今回の論文の研究で得られる知識をもとにして仮説を立て、ご自分で確かめられることをおすすめします。

分からない点がありましたら、また質問してください。
JSPPサイエンスアドバイザー
佐藤 公行
回答日:2013-11-27