質問者:
一般
るぅママ
登録番号3028
登録日:2014-03-04
昨今、スプラウトが体に良いということで、流行っています。私も、食事に取り入れることが多いのですが、あるスムージーの本で、「スプラウトにはアルカロイドが多いので、スムージーには向かない」とありました。ただし、「食べる分には問題はないが…」みたいな前置きもあり、食べていいのに、なぜスムージーにしてはいけないのか疑問です。みんなのひろば
スプラウトのアルカロイドについて
また、本当にスプラウトにはアルカロイドが多いのでしょうか?それは、どのくらいの量で、いったいどのくらい食べたら、人間に害があるのでしょうか?根拠となる文献があればそれも教えていただければありがたいです(読んでみたいので)。
どうかよろしくお願いいたします。
るぅママさん
質問コーナーへようこそ。歓迎いたします。しかし、ご質問の内容は食物栄養学か薬理学に関連する事柄で、私達の研究分野とはかけはなれています。十分な対応ができるかどうか分かりませんが、調べて分かる範囲でお答えします。
まず、スプラウト(sprout)ということですが、これは植物の生長し始めた芽(若芽)のことをさします。ここでは食料に供されている野菜などの芽生え(実生)を考えて居られると思います。すべての植物には野菜等も含めて多かれすくなかれ、毒性のある物質が含まれています。きわめて毒性の強い物質や、多量に摂取すると危険な物質まで多種多様です。そのなかで、植物がこういう毒性のある物質をつくるのは、もともと自己防衛のためだとも言われています。つまり、昆虫や動物、微生物の攻撃から身を守るということです。栽培されている農作物は人が改良を加えてきたものですから、一般にそういう毒性のある物質は含まれていても少なくなっています。有毒な物質の中で、特によく知られているのはアルカロイドと呼ばれる一群の物質です。アルカロイドは一般的に定義すると「植物由来の窒素を含む塩基性(アルカリ性)の有機化合物で多少とも毒性のある一群の物質」です。代表的な者を挙げるとアミノ酸(アミノ酸やDNAなどを構成している塩基なども窒素を含みますが、これらはアルカロイドではない)から合成されるモルヒネ、コカイン、キニーネ、アトロピンなどや非アミノ酸から合成されるソラニン(ジャガイモの毒)、エフェドリン等があります。
さて、私達がマーケットで購入できるスプラウトにはさまざまな種類がありますね。緑豆もやし、ダイズもやし、アルファルファのような暗所で発芽させたもの、かいわれ大根、ブロッコリ、クレス、カラシナ、ソバ、豆苗など緑苗のものがあります。これらのスプラウトは私達が日常よく食するものです。サラダが嫌いな人は別ですが。私自身はヴェジタリアンではありませんが、生野菜は大好きです。これらの植物にも勿論各種のアルカロイドが含まれていますが、通常きわめて微量なので少し食べたくらいではなんら影響はありません。しかし、同じものを毎日多量に摂取すると毒性が現れることがあるのかもしれません。食用植物でもスプラウトには特に沢山アルカロイドが含まれていることは考えられます。アルファルファでの報告がありましたので、紹介しておきましょう。アルファルファには毒性のあるステロイドアルカロイド(サポニンの一種、ジャガイモなどのソラニンの仲間)が約8%とアミノ酸のアルギニンの類縁体である仲間のL-カナヴァニン硫酸塩が約1.7%含まれているそうです。サポニンの含量は発芽後6~8日目が最大となるそうです。丁度スプラウトとして食べる時期ですね。他のスプラウトでも3~6日位でアルカロイド含量は最大に達するようです。先述したように、これは芽生えの直後には動物や昆虫に食まれることのないためといわれています。L-カナヴァニンは種子中に一番多いと報告されています。
最近スムージーなる野菜/果実の処理法が健康・美容によいなどと喧伝されている様ですが、それの真偽は別としてスムージーは要するに一種の野菜ジュースですから、組織細胞を潰して飲用に供するということです。スプラウトをすり潰すとアルカロイド含量がふえるかどうかと言うことはわかりません。そういう報告は見つけられませんでした。植物の種類、アルカロイドの種類にもよると思いますが、アルカロイドは植物体中ではクエン酸、リンゴ酸などの有機酸と結合して可溶性の塩の形で存在しています。植物組織を液状にすると吸収し易くなるのかもしれません。それに、スプラウトを食べる量からみると、そのままサラダなどで食べるのと磨砕して食べるのとでは、後者の方が量的に多く食べることになるのではないでしょうか。
いずれにしろ、植物にはいろいろなアルカロイドをはじめ各種の毒性のある物質が含まれています。だから、一種類を多量に、また連続して食べ続けることは薦められないということでしょう。また、食用に供されている植物なら何でもそれらのスプラウトも食べられるということではありませんので、注意は必要でしょう。
なお、アルカロイドのことについてはインターネット上に多数の項目がありますので、参考にして下さい。
質問コーナーへようこそ。歓迎いたします。しかし、ご質問の内容は食物栄養学か薬理学に関連する事柄で、私達の研究分野とはかけはなれています。十分な対応ができるかどうか分かりませんが、調べて分かる範囲でお答えします。
まず、スプラウト(sprout)ということですが、これは植物の生長し始めた芽(若芽)のことをさします。ここでは食料に供されている野菜などの芽生え(実生)を考えて居られると思います。すべての植物には野菜等も含めて多かれすくなかれ、毒性のある物質が含まれています。きわめて毒性の強い物質や、多量に摂取すると危険な物質まで多種多様です。そのなかで、植物がこういう毒性のある物質をつくるのは、もともと自己防衛のためだとも言われています。つまり、昆虫や動物、微生物の攻撃から身を守るということです。栽培されている農作物は人が改良を加えてきたものですから、一般にそういう毒性のある物質は含まれていても少なくなっています。有毒な物質の中で、特によく知られているのはアルカロイドと呼ばれる一群の物質です。アルカロイドは一般的に定義すると「植物由来の窒素を含む塩基性(アルカリ性)の有機化合物で多少とも毒性のある一群の物質」です。代表的な者を挙げるとアミノ酸(アミノ酸やDNAなどを構成している塩基なども窒素を含みますが、これらはアルカロイドではない)から合成されるモルヒネ、コカイン、キニーネ、アトロピンなどや非アミノ酸から合成されるソラニン(ジャガイモの毒)、エフェドリン等があります。
さて、私達がマーケットで購入できるスプラウトにはさまざまな種類がありますね。緑豆もやし、ダイズもやし、アルファルファのような暗所で発芽させたもの、かいわれ大根、ブロッコリ、クレス、カラシナ、ソバ、豆苗など緑苗のものがあります。これらのスプラウトは私達が日常よく食するものです。サラダが嫌いな人は別ですが。私自身はヴェジタリアンではありませんが、生野菜は大好きです。これらの植物にも勿論各種のアルカロイドが含まれていますが、通常きわめて微量なので少し食べたくらいではなんら影響はありません。しかし、同じものを毎日多量に摂取すると毒性が現れることがあるのかもしれません。食用植物でもスプラウトには特に沢山アルカロイドが含まれていることは考えられます。アルファルファでの報告がありましたので、紹介しておきましょう。アルファルファには毒性のあるステロイドアルカロイド(サポニンの一種、ジャガイモなどのソラニンの仲間)が約8%とアミノ酸のアルギニンの類縁体である仲間のL-カナヴァニン硫酸塩が約1.7%含まれているそうです。サポニンの含量は発芽後6~8日目が最大となるそうです。丁度スプラウトとして食べる時期ですね。他のスプラウトでも3~6日位でアルカロイド含量は最大に達するようです。先述したように、これは芽生えの直後には動物や昆虫に食まれることのないためといわれています。L-カナヴァニンは種子中に一番多いと報告されています。
最近スムージーなる野菜/果実の処理法が健康・美容によいなどと喧伝されている様ですが、それの真偽は別としてスムージーは要するに一種の野菜ジュースですから、組織細胞を潰して飲用に供するということです。スプラウトをすり潰すとアルカロイド含量がふえるかどうかと言うことはわかりません。そういう報告は見つけられませんでした。植物の種類、アルカロイドの種類にもよると思いますが、アルカロイドは植物体中ではクエン酸、リンゴ酸などの有機酸と結合して可溶性の塩の形で存在しています。植物組織を液状にすると吸収し易くなるのかもしれません。それに、スプラウトを食べる量からみると、そのままサラダなどで食べるのと磨砕して食べるのとでは、後者の方が量的に多く食べることになるのではないでしょうか。
いずれにしろ、植物にはいろいろなアルカロイドをはじめ各種の毒性のある物質が含まれています。だから、一種類を多量に、また連続して食べ続けることは薦められないということでしょう。また、食用に供されている植物なら何でもそれらのスプラウトも食べられるということではありませんので、注意は必要でしょう。
なお、アルカロイドのことについてはインターネット上に多数の項目がありますので、参考にして下さい。
JSPPサイエンス・アドバイザー
勝見 允行
回答日:2014-11-14
勝見 允行
回答日:2014-11-14