一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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植物の部位によってアントシアニン組成が違う例・・

質問者:   一般   もも
登録番号3034   登録日:2014-03-15
・新梢にはデルフィニジン(あるいはぺラルゴニジン)の蓄積があるが、花にはシアニジンしか蓄積しない。
・花はシアニジンしか蓄積しないが、果実にはペラルゴニジン(あるいはデルフィニジン)の蓄積がある。
etc...
と言うような例はあるのでしょうか?
主要色素が部位によって違うという植物でもいいです。
例:
花、主要色素シアニジン+微量デルフィニジン
新梢、主要色素デルフィニジン+微量シアニジン

植物名や参考になる文献があれば教えてください。
よろしくお願い致します。
もも様
 みんなのひろばへのご質問ありがとうございました。頂いたご質問の回答を、色のことなら何んでもの名古屋大学の吉田久美先生にお願いいたしました所、以下のようなご回答をお寄せ下さいました。ご回答のように、お尋ねのような例はあるようです。また、吉田先生ご自身の論文も紹介して下さっておりますので、勉強して下さい。



吉田先生のご回答

そう言う例は、普通にあると考えています。

具体例をというと私どもの結果しか持っておりませんが、
青色アジサイの花(実際はがく)の色素はデルフィニジン3-グルコシドが主要ですが、
葉が紅葉してきて蓄積する色素は、シアニジン3-グルコシドが主要です。
またカメレオンアジサイという青、緑、赤と色が変化するアジサイの色素は、
青の時にデルフィニジン3-グルコシドが主要
緑は色素が消失してクロロフィル
赤になるとシアニジン3-グルコシドが主要
となります。

Yoshida, K., Ito, D., Shinkai, Y., Kondo, T.: Change of Color and Components in Sepals of Chameleon Hydrangea during Maturation and Senescence. Phytochemistry, 69, 3159-3165 (2008).

理由ははっきりしませんが、
花は比較的複雑な構造の色素(多アシル化アントシアニンやメタロアントシアニンなどの金属錯体色素)
が多く、色も青や紫などバリエーションも多いように思います。
葉や茎、果実は単純な色素を持つ例が多いかと。
色素の合成にかかる費用対効果の問題ではないかと考えることもできます。
花は虫を引き寄せる必要があり、色や形を特化・差別化させているのに対し、
葉などはむしろ、抗酸化や抗紫外線の機能が主かもしれません。

吉田 久美 (名古屋大学)
JSPPサイエンスアドバイザー
柴岡 弘郎
回答日:2014-03-25
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