一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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バラの新芽の色について

質問者:   一般   ヨッチー
登録番号3041   登録日:2014-03-30
こんにちは、昨年夏からバラの栽培を始めました。今年初めて新芽を芽吹く春を迎えます。バラの新芽が赤いことに驚き、検索したところこちらで、赤い色の謎はとけましたが、最初から緑色の芽もあります。

緑の新芽のバラは比較的紫外線に強い性質なのでしょうか?
自宅には30鉢以上のバラがありますが、茎から赤くなっているものや、最初から緑色の新芽、葉のふちだけが赤い新芽など様々です。

バラとひとくくりにしていましたが、かなり違うようなので驚きの連続です。
なぜこのようにちがうのでしょうか?

ご回答お待ちしております
ヨッチー様

ご質問どうも有難うございました。

バラの新芽が赤い場合につきましては、ご指摘の通り新芽に含まれるアントシアニンに紫外線から新芽を守る効果があるようです(登録番号2053)。

なお、アントシアニンによる紫外線の吸収効果は、アントシアニンがどのような分子種として存在しているかに依存するようで、植物によっては新芽にアントシアニンがあるからといって必ずしも紫外線から守る働きをしているわけでもないようです。

バラの新芽が赤い場合と緑色の場合で、新芽に対する紫外線の影響に差があるかどうかにつきましては、文献を見つけられませんでした。アントシアニンを蓄積している部分としていない部分で、紫外線照射によるDNAや光合成系などへのダメージがどの程度かといった実験が必要と思います。

一般論として、ご質問に対する回答を考える上で、重要な点が2点あると思います。第一に、紫外線から細胞を守る作用を持ち得る物質が、アントシアニン以外にもある点です。アントシアニン以外のフラボノイドや、細胞壁に含まれるリグニンなどが挙げられます。バラの緑色の新芽では、赤い新芽に比べて紫外線への耐性が低いかも知れませんし、低くない場合は、こうした他の物質により十分に耐性が補われているかも知れません。

第二に、バラは園芸植物であり、人が育種・選抜を行っているという点です。
新芽に対する紫外線の影響をみながら育種・選抜を行ってきたわけではありませんので、このような生理的な性質を調べるには、原種にたちかえって調べることも重要と思います。園芸種においては、新芽の色のバリエーションと紫外線耐性に対する機能は、関係性が失われている可能性も考えられます。バラの原種の中にも新芽が赤いものや緑のものがあるようですので、それらの植物について調べてみて、考察を深めるといいかも知れません。
JSPP広報委員
東山 哲也
回答日:2014-05-09
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