質問者:
自営業
天狗一
登録番号3048
登録日:2014-04-29
御中みんなのひろば
竹・木に脂分がある訳
竹や木(松、ユウカリ等)に脂分があるのはなぜなのでしょう。
どうやって脂を生成するのでしょうか。また脂分が竹・樹木の生長と生命維持のためにどういう役割をしているのでしょうか。
天狗一様
ご質問どうも有難うございます。
埼玉大学大学院理工学研究科生命科学部・西田生郎先生に御回答頂きました。
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お尋ねの「脂分」ですが、学術的な表現としては曖昧なので、ここでは「脂分」を脂質成分と理解して回答します。脂質とは有機溶剤で抽出される化合物の総称なので、水に溶けにくいいろいろな化合物が含まれます。しかし、主な成分としては、油脂、膜脂質、保護脂質にわけられます。
油脂は、おなじみのナタネ油や牛脂で、トリアシルグリセロール(以下、TAG)を成分とします。動物の場合、食餌としてとった糖分のあまりを皮下脂肪、内臓脂肪にTAGとして貯蔵します。一方、植物の場合、TAGは種子や果肉に蓄積されます。
種子のTAGは発芽するときにショ糖に変換され、光合成機能が未発達の実生の栄養源となり、その成長を支えます。果肉に蓄積された油脂は、その種子/果肉をめざしてやってくる動物に必須栄養素(必須脂肪酸であるリノール酸や、脂溶性のビタミン類)を提供します。このような種子にとっては、動物は種子散布者としての役割を果たしてくれます。
膜脂質とは、細胞の細胞膜や、細胞に含まれる細胞小器官を包む生体膜の主成分です。グリセロリン脂質、グリセロ糖脂質、スフィンゴ脂質といった、極性脂質がこれらにあたります。すべての生物の体は細胞からできており、細胞の膜成分を構成するこれらの脂質はいわば必須成分です。
最後に、保護脂質ですが、これは、ワックスやスベリン、クチンと呼ばれる脂質です。細胞表面に存在し、組織を乾燥から防ぎます。
竹、松、ユウカリを例に引かれていますが、竹の場合、表面の保護脂質のことでしょうか?松の場合、松の実の油でしょうか?ユウカリは葉の表面にワックス成分が多く、オーストラリアでは山火事の被害を拡大しています。
西田 生郎(埼玉大学大学院理工学研究科生命科学部門)
ご質問どうも有難うございます。
埼玉大学大学院理工学研究科生命科学部・西田生郎先生に御回答頂きました。
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お尋ねの「脂分」ですが、学術的な表現としては曖昧なので、ここでは「脂分」を脂質成分と理解して回答します。脂質とは有機溶剤で抽出される化合物の総称なので、水に溶けにくいいろいろな化合物が含まれます。しかし、主な成分としては、油脂、膜脂質、保護脂質にわけられます。
油脂は、おなじみのナタネ油や牛脂で、トリアシルグリセロール(以下、TAG)を成分とします。動物の場合、食餌としてとった糖分のあまりを皮下脂肪、内臓脂肪にTAGとして貯蔵します。一方、植物の場合、TAGは種子や果肉に蓄積されます。
種子のTAGは発芽するときにショ糖に変換され、光合成機能が未発達の実生の栄養源となり、その成長を支えます。果肉に蓄積された油脂は、その種子/果肉をめざしてやってくる動物に必須栄養素(必須脂肪酸であるリノール酸や、脂溶性のビタミン類)を提供します。このような種子にとっては、動物は種子散布者としての役割を果たしてくれます。
膜脂質とは、細胞の細胞膜や、細胞に含まれる細胞小器官を包む生体膜の主成分です。グリセロリン脂質、グリセロ糖脂質、スフィンゴ脂質といった、極性脂質がこれらにあたります。すべての生物の体は細胞からできており、細胞の膜成分を構成するこれらの脂質はいわば必須成分です。
最後に、保護脂質ですが、これは、ワックスやスベリン、クチンと呼ばれる脂質です。細胞表面に存在し、組織を乾燥から防ぎます。
竹、松、ユウカリを例に引かれていますが、竹の場合、表面の保護脂質のことでしょうか?松の場合、松の実の油でしょうか?ユウカリは葉の表面にワックス成分が多く、オーストラリアでは山火事の被害を拡大しています。
西田 生郎(埼玉大学大学院理工学研究科生命科学部門)
JSPP広報委員長
松永幸大
回答日:2014-04-29
松永幸大
回答日:2014-04-29