一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

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根毛の在処(ありか)

質問者:   教員   OchaHoshi
登録番号3057   登録日:2014-05-10
根毛について,中学校の教科書や資料集などでは,必ずと言っていいほど種子からの発根画像で説明しています.

観察・撮影のしやすさからと思いますが,「種子からの発根」時期だけに根毛があるかのような誤解を生まないかと懸念しています.

「根毛は,生長した植物はもちろん,巨木になっても,新しい根の先端に存在する」と説明することは正しいでしょうか.

また,そういった画像がありましたら,ご紹介ください.

よろしくお願いいたします.
OchaHoshi様

ご質問どうも有り難うございました。
根毛を研究している京都大学化学研究所の青山卓史先生に御回答頂きました。

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ほとんどの被子植物では根毛は伸長中の根の先端付近の上皮細胞から発生します。
しかし、直径が10マイクロメートル程度と細いのでそれらを肉眼で見ることはできません。一方、発芽時の根からは比較的長い根毛が高密度で発生するので全体として綿毛のように見えます。この状態は根毛を画像として見せ易いので教科書によく使われているのだと思います。これ以外に、根の先端が空中に露出した場合なども比較的長い根毛が高密度で発生します。両方の場合とも根の地面や地中への固定のための根毛の機能に関係すると考えられています。

青山 卓史(京都大学化学研究所)
JSPP広報委員長
松永 幸大
回答日:2014-05-13