一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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樹木とつるのお互いのメリット、デメリット

質問者:   大学生   ぱーくん
登録番号3067   登録日:2014-05-21
私は樹木とつるの関係を写真で表現したいと思っています。つる植物が高い樹木に巻き付き、自らの支持のため組織への投資量を減らしているのはわかりました。この関係だけだとつるにはメリットがありますが、樹木にはメリットがありません。そこで質問です。実際のところ樹木にもつるのどちらにもメリットがあるのか教えてください。また、樹木がつるを嫌がり、妨害などをするということもあれば詳しく教えてください。
ぱーくん様

みんなのひろばへのご質問有難うございます。
東京大学大学院理学系研究科・日光植物園の舘野正樹先生に
御回答頂きました。

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 つる植物とホストである樹木にとっての相利共生関係ですが、今のところ知られてはいません。寄生か、あるいは片利共生という関係だけが知られています。

・完全な寄生(樹木にとっては有害)
 クズ、サルナシ、マタタビ、ヤマブドウなどはホストの樹冠を覆い尽くしてしまうため、ホストは光を得にくくなって枯死してしまいます。つる植物はホストが枯れるまでに隣の樹木に乗り移ります。これに成功しないと、ホストと共倒れとなります。林の中にぶら下がっているつるは、新しいホストに乗り移り、古いホストが枯死した結果です。

・片利共生(樹木にとってはほぼ無害)
 イワガラミなどの貼り付いているつるの場合、ホストが枯死してしまうと必ず自分も枯死することになります。こうしたつる植物の場合、決してホストの樹冠の上には出て行きません。ホストの樹冠の下で穏やかに生きていきます。巻き付き型のつる植物でも、マツブサなどはホストの上には出ないため、マツブサは片利共生と見ることができるでしょう。

 フジはかなり微妙です。ホストの樹冠を完全には覆わないのですが、ホストはかなり光を奪われています。活かさぬように、殺さぬようにというところでしょうか。

舘野 正樹 (東京大学大学院理学系研究科日光植物園)

JSPP広報委員
出村 拓
回答日:2014-06-05
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