一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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過敏感細胞死について

質問者:   高校生   しゅん
登録番号3086   登録日:2014-06-25
植物には,病原菌に感染すると,その病原菌が体全体に広がらないように"自殺"を起こす「過敏感細胞死」という機構があると聞きました.その,過敏感細胞死が起こっている写真を見ると,全てが葉で起こっている写真だったのですが,茎や根,花でも過敏感細胞死は起こったりするのでしょうか.
しゅん 君

みんなの広場 質問コーナーのご利用ありがとうございます。
もっともな疑問だと思います。植物の病気は地上部に症状が現れることから気が付くことが多いものです。地上部でも最も多い部分は葉ですね。葉に病徴が現れる場合が大変多いために教科書や参考書には「典型的な病徴」の例として葉の症状が提示されることになります。 感染時に起こる過敏感細胞死は、ある病原菌(細菌、糸状菌が主)に抵抗性を示す種(品種)が感染したときに起こる現象で、感染細胞が病原菌を巻き込んで積極的に「自殺」し、病徴の拡大を防ぐとともに他の健全部にも信号を出して免疫抵抗性を誘導して個体の生存をはかる役割を果たしています。その仕組みの解明にたくさんの研究が行われ、複雑な仕組みの概要が分子レベルでわかりつつあるのが現状です。仕組みの解明には、実験的に扱いやすく、病徴も鮮明に表れるところから葉を対象としているものが多いことは事実ですが、根、茎、花、果実の細胞も感染すれば過敏感反応死を起こします。よい例は、サツマイモ塊根の黒斑病、ジャガイモ塊茎の疫病などが挙げられます。
JSPPサイエンスアドバイザー
今関 英雅
回答日:2014-06-26
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