一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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アントシアニンと糖

質問者:   高校生   杏仁豆腐
登録番号3101   登録日:2014-07-25
こんにちは。私たちは現在アントシアニンの研究をしています。あるサイトによると、アントシアニンに糖を加えると崩壊すると記載されていましたが、崩壊とはアントシアニンがどうなることなのでしょうか?
また、マルトースやフルクトースを塩基性のアントシアニンに加えると色が深青色から淡青色に変化しました。どのような反応が起こったのか教えてください。よろしくお願いします。
杏仁豆腐様

質問コーナーへようこそ。歓迎いたします。下記ご質問についてはアントシアニンの研究に詳しい名古屋大学大学院情報科学研究科複雑系科学専攻吉田久美先生に回答をお願いしました。回答からもご理解いただけると思いますが、アントシアニンの発色や色の変化の機構は複雑で微妙です。実験される場合にはきちんとした条件を整えた上で進めて下さい。末尾に挙げてある本学会のホームページのサイトもぜひ読んで下さい。

ご質問いただきありがとうございます。
アントシアニンのどのような研究をされておられるのでしょうか。
具体的なことがわかりませんので、ごく一般的なお応えになってしまうこと
お許しください。

アントシアニン色素は、溶液のpH、濃度、共存物質によって多彩に発色と安定性が変化することが最大の特徴である植物色素です。
「マルトースやフルクトースを塩基性のアントシアニンに加えると」
の意味は、アントシアニンの溶液を塩基性にして、そこへ糖を加えたということでしょうか
糖をどうやって加えたのかが不明のため、推測ですが、
1)糖の水溶液を加えた場合:pHや濃度が変化した可能性がある
2)糖を固体で加えて溶解させた場合:溶かすのに時間がかかった可能性がある。

1)の場合は、濃度が薄くなったため、退色が進行した可能性があります。
2)の場合は、もともと安定ではないので、時間経過により退色が進行した可 能性があります。

どのようなアントシアニンを用いておられたかによって、また、どのような実 験条件でされたかによって具体的な返答が変わります。
それほど、微妙な実験ということになります。

下記がご参考になれば幸いです。
http://www.jspp.org/17hiroba/ippan/simin2005/index.html

http://www.jspp.org/17hiroba/ippan/simin2005/01Yo_06.html

http://www.jspp.org/17hiroba/ippan/simin2005/01Yofig/01Yo_fig04.html

吉田 久美(名古屋大学大学院情報科学研究科複雑系科学専攻)
サイエンス・アドヴァイザー
勝見 允行
回答日:2014-08-05
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