一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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アサガオの交配

質問者:   中学生   アサガオ大好き
登録番号3119   登録日:2014-08-09
昨年、初めてアサガオの交配をしました。小学校1年の時に学校でもらった種を毎年まいて採取している青い花の咲くアサガオと、買ってきた赤の大輪朝顔です。交配してできた種を今年すべてまいてみたら、青でも赤でもなく、今現在で咲いた花はすべて紫になりました。
また、その中でも少し違いがあり、3種類に分けられます。1つは紫の花、1つは紫の花の外側に点々と白い部分が入った花、1つは赤紫の花に星形のように青が入った花の3種類です。(写真を別で送りたいです)。
メンデルの法則では青と赤を交配した子供はすべて青花の親と全く同じ「青」になると思います。なぜ子供の世代に親とは違う色が現れるのでしょうか。なぜメンデルの法則どおりにならないのか不思議です。
アサガオ大好き様

ご質問どうも有難うございました。
アサガオの研究をされている星野敦先生(基礎生物学研究所)に
御回答頂きました。


アサガオの青と赤を交配すると、子供は青で、孫は青と赤が3:1になると予想したのに、子供は紫になって、しかも模様があるものまで出たということですね。アサガオの花色もメンデルの法則に従って遺伝しますから、今回の観察結果もメンデルの法則に従っているはずです。ではなぜ、メンデルの法則に従っていないように見えるのでしょうか? その答えは、調べてみないと分かりません。いくつか参考になりそうなヒントを差し上げますので、ご自分で調べて答えを出してみてください。

ヒント1:アサガオには多くの突然変異があり、花色は複数の突然変異が組み合わさることで決まっている。このため、白と赤の無地を交配して子供が青に模様といった、メンデルの法則に従っていないような(実際には従っている)遺伝がしばしば観察される。

ヒント2:色の濃淡を決める突然変異もあり、色が濃いと赤っぽく、色が薄いと青っぽく見える傾向がある。薄い青(水色)や濃い青(紺色)など、いろいろな青がある。

ヒント3:青い花は時間がたつと赤みが増して、やがてしおれる。5時前後の開花直後は青くても、そのあとは紫に見えることがある。また、赤くなる早さは系統や天気によっても異なる。

ヒント4:昆虫が花粉を運ぶなどして、自然に交雑が起きることがある。

ヒント5:種間交雑によりできたアサガオは、複雑な遺伝をすることがある。

種間交雑とは、たとえば日本のアサガオ(学名:Ipomoea nil)と、マルバアサガオ(Ipomoea purpurea)やアメリカアサガオ(Ipomoea hederacea)を交配したような、異なる種間の交雑のことです。「赤紫の花に星形のように青が入った花」が咲いたそうですが、そのような模様は日本のアサガオにはありませんので、種間交雑の関係していることが疑われます。交配親として使ったアサガオが、純粋な日本のアサガオではないということです。アサガオにどのような模様があるのかは、九州大学の仁田坂先生が最近書かれた「変化朝顔図鑑(化学同人)」にありますので調べてみてください。ネット上のいろいろなサイトでは、種間交雑でできたアサガオが、たんにアサガオとだけ紹介されていて紛らわしいですから注意が必要です。

それから、ヒント1のように複数の突然変異が組み合わさっている場合には、十分な結果を得るために多くのアサガオを育てて観察する必要があります。来年また孫の種をまくときには、そのことを考慮してください。

答えが見つかることを期待しています。

星野敦(基礎生物学研究所)
JSPP広報委員長
松永幸大
回答日:2014-08-19
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