一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

チェックリストに保存

早急に教えて下さい☆

質問者:   その他   太原 哲夫
登録番号0312   登録日:2005-07-21
単子葉類は合弁花と離弁花に分けられないんですか・・・???
太原哲夫さま

単子葉類にも合弁花と離弁花の状態があり,区別できます.
しかし,双子葉類のように科レベルで合弁花類と離弁花類をまとめることは困難です.例えば,単子葉類の広義のユリ科にはツバキ科同様に,花弁の付き方にはさまざまな段階が見られます.
テッポウユリなどのユリ属は花弁は離弁です.
ギボウシ属は花弁の基部が合着して筒状です.
スズラン属も上部まで花弁が合着しています.
さらに,アマドコロ属では花弁は筒状で,雄しべも花弁の内側に合生しています.

双子葉類で離弁花から合弁花が進化したように,単子葉類でもそのような系統進化の方向があるでしょうが,それを元にして大きな分類群を区別できないというのがなぜ単子葉類は合弁花と離弁花に分けていないかという理由です.

多くの植物分類学者はなぜ花弁だけでなく雄しべ,心皮が離弁状態から合着して,合弁状態になるのか.また,子房が上位から下位に進化するのかということに興味を持っています.
機能的には,訪花昆虫への適応という説明ができます.しかし,実際に,どのような遺伝子がいつ発現することで,合弁や子房下位になるのか? これから遺伝子レベルで合弁が説明できるようになればと存じます.

なお,ユリ科はこれまで,さまざまな植物群がほりこまれた雑居状態でしたが,分子系統学の進歩によって現在,整理されてきています.ユリ科に関しては詳しい情報は,田村 実(大阪市立大学大学院理学研究科附属植物園)mntamura@scisv.sci.osaka-cu.ac.jpにお尋ねください.
神戸大学
 小菅桂子
回答日:2009-07-03