質問者:
小学生
はるるん
登録番号3134
登録日:2014-08-24
夏休みの自由研究で、食べ物の組み合わせや料理の仕方によって、みんなのひろば
玉ねぎの皮とこんにゃくを煮たら
色がかわるものがあるかどうかを実験しています。
その中の一つで、玉ねぎの皮とこんにゃくを煮たら、黄色いこんにゃくになりました。
その後、そのまま一晩おいておいたら、赤くなっていたのですが、どうしてでしょうか?
よろしくお願いします。
はるるん さん:
みんなの広場 質問コーナーのご利用ありがとうございます。
タマネギの皮は黄色に染める草木染めの染料材料としてもちいられていますね。しかし、「赤くなる」という話を聞いたことがありませんでしたの、植物色素を専門に研究されている吉田久美先生に伺いました。先生は、実験までされて回答をくださいました。こんにゃくはどんなものかについてこのコーナーの登録番号2893を参考にしてください。
吉田先生の実験結果からまとめると、赤くなる色素の本体はよく分からないけれども、おそらく複雑な化合物縮合型タンニン(登録番号1152を参考にしてください。いわゆるポリフェノールの一種で、酸化され易い物質)がアルカリ性のもとで赤褐色になるためではないか、赤褐色も薄い濃度では赤く見えるからだと思われる、というものです。
また、「一晩おいたら赤くなった」というのもごく薄い濃度では目で赤く見えるまでには時間がかかるためではないかと思われます。吉田先生の実験のされ方も参考にしてください。
【吉田先生の解説】
タマネギの皮はケルセチンであることや黄色に染色できることさらに、こんにゃくで赤くなることは、ネットには良く書かれています。しかし、有機化学的には、若干疑義がありましたので、娘を使って実験をしてみました。下記のことがわかりましたので、お返事申し上げます。
実験:
1)タマネギの一番外側の茶色の皮を水で煮る(沸騰10分程度)→ 黄褐色の汁が得られます(1)
2)ここへ水洗いしたこんにゃくを加える → 若干茶褐色に変化(2)
3)こんにゃくの袋の中の汁を加える → より褐色に変化(3)
4)塩化カルシウム水溶液を加える → 色変化はほとんどなし(4)
5)水酸化ナトリウム水溶液を加える → クリアな赤褐色に変化(5)
6)水酸化カルシウム水溶液を加える → 若干濁った赤褐色に変化(6)
これは、一晩おいていません、すぐの反応です。
また、ケルセチンは水にはほとんど溶けませんし、中性水溶液では無色です。
以上のことから、タマネギの煮汁の黄色はケルセチンではないと考えます。むしろ、縮合型タンニンがさらに酸化重合したものではないかと推測します。そして、こんにゃくで赤くなるわけでも、一晩おくと赤くなるわけでもありません。
アルカリ性になると、この色素は赤褐色になるということです。(5,6)
一方、カルシウムは関係ありません、酸性条件では、赤くなりませんでした。(4)
一晩おくというのは、こんにゃくからゲル化に用いられた水酸化カルシウムが ゆっくり出てきて溶液がアルカリ性になるのに一晩かかるということだと判断できます。
吉田久美(名古屋大学大学院情報科学研究科)
みんなの広場 質問コーナーのご利用ありがとうございます。
タマネギの皮は黄色に染める草木染めの染料材料としてもちいられていますね。しかし、「赤くなる」という話を聞いたことがありませんでしたの、植物色素を専門に研究されている吉田久美先生に伺いました。先生は、実験までされて回答をくださいました。こんにゃくはどんなものかについてこのコーナーの登録番号2893を参考にしてください。
吉田先生の実験結果からまとめると、赤くなる色素の本体はよく分からないけれども、おそらく複雑な化合物縮合型タンニン(登録番号1152を参考にしてください。いわゆるポリフェノールの一種で、酸化され易い物質)がアルカリ性のもとで赤褐色になるためではないか、赤褐色も薄い濃度では赤く見えるからだと思われる、というものです。
また、「一晩おいたら赤くなった」というのもごく薄い濃度では目で赤く見えるまでには時間がかかるためではないかと思われます。吉田先生の実験のされ方も参考にしてください。
【吉田先生の解説】
タマネギの皮はケルセチンであることや黄色に染色できることさらに、こんにゃくで赤くなることは、ネットには良く書かれています。しかし、有機化学的には、若干疑義がありましたので、娘を使って実験をしてみました。下記のことがわかりましたので、お返事申し上げます。
実験:
1)タマネギの一番外側の茶色の皮を水で煮る(沸騰10分程度)→ 黄褐色の汁が得られます(1)
2)ここへ水洗いしたこんにゃくを加える → 若干茶褐色に変化(2)
3)こんにゃくの袋の中の汁を加える → より褐色に変化(3)
4)塩化カルシウム水溶液を加える → 色変化はほとんどなし(4)
5)水酸化ナトリウム水溶液を加える → クリアな赤褐色に変化(5)
6)水酸化カルシウム水溶液を加える → 若干濁った赤褐色に変化(6)
これは、一晩おいていません、すぐの反応です。
また、ケルセチンは水にはほとんど溶けませんし、中性水溶液では無色です。
以上のことから、タマネギの煮汁の黄色はケルセチンではないと考えます。むしろ、縮合型タンニンがさらに酸化重合したものではないかと推測します。そして、こんにゃくで赤くなるわけでも、一晩おくと赤くなるわけでもありません。
アルカリ性になると、この色素は赤褐色になるということです。(5,6)
一方、カルシウムは関係ありません、酸性条件では、赤くなりませんでした。(4)
一晩おくというのは、こんにゃくからゲル化に用いられた水酸化カルシウムが ゆっくり出てきて溶液がアルカリ性になるのに一晩かかるということだと判断できます。
吉田久美(名古屋大学大学院情報科学研究科)
JSPPサイエンスアドバイザー
今関 英雅
回答日:2014-09-01
今関 英雅
回答日:2014-09-01