一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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染色体観察 解離がうまくいかない

質問者:   会社員   Y
登録番号3143   登録日:2014-09-07
趣味で植物の染色体観察を始めました。オオバノイノモトソウ(根端)の染色体数を正確に計数したいのですが、うまくいきません。解離が不十分なのか、多くの細胞が展開せず重なってしまうため、一部の展開した細胞も押しつぶし不足となり、染色体が平面的に広がりません (数回ピントを変えないと全てが見えず、正確な計数は困難)。手順は以下のとおりです。

①午前9:00に根端を採取
②8-オキシキノリン3時間で前処理
③カルノア液30分で固定後、水洗
④4%塩酸、60℃で解離 5分/10分/30分/60分(いずれの時間でも結果は同じ)、水洗
⑤スライドガラスに先端1mmをのせ、針でほぐす(固くて殆どほぐれない)
⑥酢酸ダーリアを1滴たらす 
⑦カバーガラスをのせ、爪楊枝で叩く(殆ど拡がらない)
⑧指で強く押す
⑨1000倍で観察 ⇒ 鮮明な分裂像は多数見えますすが、平面的に拡がったものは皆無です

こけだけの情報では難しいと思いますが、問題点、改良点などご教示いただければ幸いです。宜しくお願い致します。
Y様

ご質問どうも有難うございます。
染色体観察の材料調製は、植物材料の状態や種類によって千差万別で条件検討は私達、研究者でも苦労致します。

多くの細胞が重なっているということは、細胞解離が不十分です。
塩酸処理で難しい場合は酵素処理をお勧めします。
ペクトリアーゼY23とセルラーゼオノズカR-10を1%と3%になるように溶解して酵素溶液として使用しています。調製してたくさんできた酵素溶液は1回分ごとに小分けにしてマイナス20度で凍らせれば1年間保存できます。根端を酵素溶液に入れて37度で30分から1時間処理しています。そうしますと、大抵の植物の細胞はバラバラになり解離します。
解離しすぎると今度は染色体までバラバラになりますので注意してください。

更に詳しい方法を知りたい場合は、下記の本をご参照ください。
クロモソーム植物染色体研究の方法
ISBN-13: 978-4842503806
JSPP広報委員長
松永 幸大
回答日:2014-09-09
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