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たんぽぽの花は開花後なぜ倒伏するのでしょうか、また綿毛になるとき背伸びをするのでしょうか

質問者:   一般   たんぽぽ
登録番号3156   登録日:2014-09-29
春にタンポポが咲く頃の季節が大好きです。
タンポポを観察してよく散歩をします。
タンポポの花を観察していると、開花後花の茎が一度倒伏し、再度立ち上がって
綿毛になります。何のために一度倒伏するのでしょうか?
倒伏が綿毛になるのに影響があるのではと、倒伏をさせないようにして実験をしましたが、変わらず綿毛になりました。
また、再度立ち上がって綿毛になるとき、花の時よりも、1.5倍くらい背伸びをして高くなります、単純に綿毛を遠くまで飛ばすための、タンポポの工夫と考えてよいでしょうか。
2点よろしくお願いします。
たんぽぽさま

 みんなのひろばへのご質問ありがとうございます。まず、“何故”がどういう目的でという何故だと、この質問コーナーの母体である日本植物生理学会の守備範囲ではありませんのでお答え出来ません。しかし“何故”がどのような機構によってですと、答えを探さなければなりません。例えば最初の疑問の「なぜ倒伏するか」についてですが、たんぽぽさんは倒伏させない実験を通して倒伏が種子の形成に必要でないことをみつけておられます。私も近くの河川敷に毎日通い写真を撮り続け、倒れないで種子を着ける例を沢山見ています。これから考えても、この何故の答えをみつけるのが容易でないことが分かると思います。

 どのような機構によってタンポポの花茎が運動するのかについて述べますが、その前にタンポポの花茎について述べる必要があります。花茎は葉の根元に出来た芽(腋芽)が伸びたものなので、植物学的に云えば枝です。枝に上側下側があるようにタンポポの花茎にも上下があります。ここでは植物体の軸に向かう側(向軸側)を腹側、その反対側(背軸側)を背側として説明します。花茎は枝ですので普通の枝と同じように最初は斜めに伸びますが、やがて背側が腹側より伸びて直立した形になります。花(沢山の花の集り)が咲き終わった頃、花茎の腹側が伸びるので倒れた様な姿勢になります。腹側を上にしているので、うつ伏ではなくて、仰向けです。なぜ腹側が伸びるのかは分かっていませんが、植物ホルモンのオーキシンが関与していることだけは確かなようです。花が咲く前に蕾を取り除くと花茎は倒れませんが、蕾を取り除いた花茎に高濃度のオーキシンを与えると倒れます。受粉後に花から花茎へのオーキシンの供給がふえます。このオーキシンが倒伏に関係しているらしく、受粉をさせないと倒れません。高濃度のオーキシンが葉や葉柄の上側(腹側)の伸長を促進する植物ホルモンの一種のエチレンの合成を引き起すことが知られていますので、花から送られて来たオーキシンによって作られたエチレンにより花茎の腹側が伸び、仰向けに倒れるのという可能性が考えられますが、確かめられてはいません。

 暫く倒れていた後に花茎が生長を再開するのにもオーキシンが関係しています。多くの植物で発育中の種子がオーキシンを生産することが知られており、タンポポの場合でも発育中の種子を取り除くと花茎の伸びが悪くなるので、花茎の生長の再開には発育中の種子からのオーキシンが働いていると思われます。どんな目的で茎の生長が再開されるのかは分かりませんが、長く伸びた花茎が種子の散布に役立っていることは確かだと思います。

 タンポポの花茎の生長について以前に質問を頂いたことがあり、当学会編集の「これでナットク!植物の謎」(講談社ブルーバックス)にその時の回答が載せてあります。撮りまくった写真を参考にして描いた絵も載せてあります。今回の回答はそれの縮小版です。
JSPPサイエンス・アドバイザー
柴岡 弘郎
回答日:2014-10-09
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