一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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サンスベリアの光合成型について

質問者:   会社員   すぎも
登録番号3158   登録日:2014-10-06
いつもQ&Aを楽しく拝見させていただいております。
私は珍しいサンスベリアを収集して楽しんでいるのですが、何しろ熱帯の植物ですので生育が安定せず、どういう環境にしたらうまく生育させられるのか、いつも試行錯誤しています。(夏場はベランダ、冬場は室内で大掛かりな温室などは用意できませんが・・・)
質問はサンスベリアの光合成型についてです。インターネットで調べたところ、C4型光合成と書いているところもあれば、CAM型光合成と書いてあるところもあるため、実際には一体どちらの光合成型なのか知りたく思っています。
私の感覚ではCAM型ではないかと感じているのですが、実際にはどうなのでしょうか?
CAM型であると思う根拠は、もしC4型であれば、強い日光に当てるのがよいと思うのですが、サンスベリアはそれほど強い日光に耐性がなさそうで、結構葉焼けを起こすからです。
なのでCAM型と想定して、室内では二酸化炭素を効率よく取り込めるよう、夜に扇風機で弱い風を送っています。このやり方が果たしてどうなのかと思い、光合成型を知りたいのです。
(もしC4型でしたら、昼に風を送った方がよいと思いますので、やり方を改めなければ・・・)
ご教授よろしくお願いします。
本コーナーに関心をお持ち下さりありがとうございます。
この質問には九州大学の上野先生が下記のような回答文をご用意下さいましたのでご参考になさって下さい。

(上野先生から回答)
私が知る限り、Sansevieria属ではC4植物は見つかっていません。この属は、最近の分類では単子葉植物のナギイカダ科(Ruscaceae)に属します。単子葉植物でC4植物が見られるグループは、イネ科、カヤツリグサ科、トチカガミ科だけです。では、CAM植物かどうかですが、ざっと調べてみると括弧内のSansevieria属植物がCAM型であるという研究報告があります(Sansevieria fasciata;S. liberica;S.roxburghiana;S. thyrsiflora;S. trifasciata;S. zeylamica)。

Willis, J.C. 1973. A Dictionary of the Flowering Plants & Fernsという事典で調べてみると、この属は、世界で60種ほどが知られており、熱帯地域や南アフリカ、マダガスカル、アラビアに分布しており、乾燥地に生える植物と書いてあります。上記以外の種がCAM型かどうかはまだ調べられていないので厳密には分かりません。実際、一つの属の中にCAM植物とC3植物が混ざっている場合もあります。しかし、分布域や生育地からするとCAM型の可能性が高いと思います。

上野 修(九州大学大学院・農学研究科・植物生産生理分野)
JSPPサイエンスアドバイザー
佐藤 公行
回答日:2014-10-09
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