一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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ツタの吸盤の粘液

質問者:   高校生   たかはし
登録番号3163   登録日:2014-10-21
調べてもわからなかったので、質問させていただきます。

私はツタの吸盤に興味があり、吸盤による壁面付着について実験をしています。調べたところ、吸盤は粘液とファスナー効果によって貼りついていることを知りました。そこで、その粘液とは具体的にどんな物質なのでしょうか。登録番号2247では「判明していない」とありますが、現在はわかっているのでしょうか。
質問コ-ナーへようこそ.歓迎いたします。ツタの吸盤吸着のことに関心を持っておられるとのことですが、私の調べたかぎりでは、現在のところ登録番号2247で答えた以上にことはあまり詳しくお答えできません。見つかった二つの論文を紹介します。英文ですのでご自分で努力して読むか、誰かに読んでもらって下さい。最初の論文(1)はEnglish Ivy (セイヨウキズタ)の吸盤吸着のメカニズムを詳しく調べた研究で、それによると吸盤の形成は4つの段階に分けられるるそうです。ただ単に吸(粘)着物質(glue-like substance) でくっ付くだけではなく、根の複雑な形態的変化(変形)を伴うそうです。二番目の論文は吸着物質の化学的本体を調べたものです。分泌される直径50〜80(nm)のナノ粒子(nanoparticles)を集めて分析しているのですが、それある種の糖タンパク質(Glycoproteins)であると結論しています。この粘着物質の立体的構造等については解析をすすめている様です。

1)Björn Melzer et al. (2010) The attachment strategy of English ivy: a complex mechanism acting on several hierarchical levels. Journal of Royal Society Interface. 20100140
2) Scott C. Lenaghan et al. (2013) Isolation and chemical analysis of nanoparticles from English ivy (Hedera helix L.). Journal of Royal Society Interface 20130392

どちらの論文もnet でみられます。
JSPPサイエンス・アドバイザー
勝見 允行
回答日:2014-10-24
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