一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

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植物に当たる太陽光線の波長 と成長

質問者:   一般   高橋 淳
登録番号3166   登録日:2014-10-29
ビニールハウスの暖房効率を上げる目的で、ハウスのガラスに加え、例えばPETフィルムを張り巡らせて魔法瓶的に空気対流を防げば暖房燃料を節約出来る筈と思いますが、フィルムが太陽光線を遮り、生育に良くないと聞きました。
フィルムの透明度にもよるとは思いますが、PETで0.2mm厚でも生育に良くないのでしょうか?
又、新聞には赤色成分が多い光がレタスには良い、と書かれた記事も見ましたが
植物種類に寄って大きく影響してしまうのでしょうか?
高橋 淳 様

ご質問をありがとうございます。
PET(ポリエチレンテレフタレート)のフィルムは殆んど無色透明で、光透過率のスペクトル特性から判断すると植物の生育にかかわる波長領域で光の質を大きく変えることはないように思えます。ただし、フィルム表面の反射があるので一定の割合での減光があり、また、フィルムの作られ方によっては偏光性が生じていると思いますので、これらのことが問題になるかも知れません。PETフィルムをガラスに直接貼り付けることになりますか、それともガラスとの間に空気の層を挟んで張り巡らすことになりますか。やり方によって効果の程度は違って来ると思いますが、何れにしても暖房効率を高めることは間違いないと思います。しかし、実際に行うには、PEPフィルムの他の物性(熱伝導率・熱膨張率・機械的な強さや耐熱性など)についても十分に考慮する必要がありますね。

生育に及ぼす光質の影響は植物の種類によってかなり違って来ると思いますので、個々の作物について調べられることをお勧めします。一般的な説明としては、本コーナーのQ/A(登録番号1733や登録番号1244)がありますので、参考になさって下さい。
JSPPサイエンスアドバイザー
佐藤 公行
回答日:2014-11-05