一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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植物の反射光スペクトル

質問者:   一般   さかぐち
登録番号3177   登録日:2014-11-07
植物に白色LEDライトで強い光をあてると、反射光の分光スペクトルの730nmあたりに蛍光がでますが、この蛍光がでなくなるように白色LEDライトの光量を減らせば、最適な光合成の光量になると考えていいのでしょうか?
さかぐち 様

本コーナーに質問をお寄せ下さりありがとうございます。

反射光と蛍光が区別されて測られていることを前提に説明させていただきます。また、蛍光の強さが励起光の強さに比例することも前提です。

常温で緑葉から発せられるクロロフィル蛍光は、多く場合、685-690nmと730-740nmあたりを中心にした二つのにスペクトル成分として観測されます(短波長側のピークはクロロフィルの自己吸収のため小さくなっているかも知れません)。クロロフィルに吸収され光合成に使われなかったエネルギーが蛍光として発散されることになりますが、無傷の光合成組織が出す蛍光の量子収率は非常に低く、蛍光放射が使われなかったエネルギーの主要部分を代表するものではありません。光の照射に応答する蛍光強度の変動(蛍光の誘導現象)から光合成活性に関する情報を読み取ることはできますが、その強度を直接的に光合成活性に結び付けることはできません(強度からクロロフィルの存在量を見積もることはできます)。光合成の作動に最適な光量を見積もるには、電子伝達活性(蛍光の誘導現象を含む)など別の指標を用いる必要があります。
JSPPサイエンスアドバイザー
佐藤 公行
回答日:2014-11-10
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