一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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山桜とソメイヨシノの違い(特に散り方の違い)

質問者:   一般   河嶋毅
登録番号3179   登録日:2014-11-10
本居宣長が詠んだ「敷島の大和心を人問わば朝日に匂う山桜花」という歌が、通常散り際の潔さを武士道の象徴にたとえて語られることが多いのですが、私の子供の頃住んでいた家の脇にあった山桜は、ソメイヨシノのようにいっぺんに散ってしまうということはなかったように記憶しています。また、山桜の花は、ソメイヨシノより色が薄く、この歌を初めて目にした時には山桜の清らかな印象を感じました。人々に語られて来たよりも違った印象を持ちました。また、かの碩学新渡戸稲造は、この歌に表現された山桜の「香り」を「その淡い匂いは人を飽きさせない」と賞賛しましたが、香りがしたという印象を私は持っていません。
写真で見ると吉野の山桜は、ソメイヨシノのような桜に見えます。山桜にも色いろあるのでしょうか。お教え下さい。
みんなのひろばへのご質問ありがとうございました。河嶋さまのおっしゃられる通り、私もヤマザクラが香ると思ったことがありません。ただ、人の嗅覚の感度には差があるので、匂いを感じる人もいるのかなとは思っています。また、香りの高い花でも香る時期は短いので、嗅いで見る時期も重要です。ヤマザクラもソメイヨシノもいっぺんには散らないと思います。咲いた順に散るのが普通ですが、受粉したかまだかでも、散る時期は変わります。受粉した花は早く散り、受粉していない花はいつまでも散りません。受粉した花でも、その後の気温が高かければすぐに散りますが、気温が低ければ散らずにいます。このように散る時期は条件によって変わります。このことに関しては、登録番号2174読んでみて下さい。次に花びらの色ですが、ヤマザクラもソメイヨシノも白色か薄桃色で殆ど変わらないと思います。ただ、ソメイヨシノの花が葉が開く前に咲くのに対して、ヤマザクラの花は紅色の葉が開いた後に咲くので、遠くから見ると、紅色の葉と白色、薄桃色の花びらとが混ざって、ソメイヨシノより赤く見えるのだと思います。吉野のサクラは殆どがヤマザクラです。私の知っている限り、ソメイヨシノは水分(ミクマリ)神社の前に一本あるだけだと思います。何年か前。官製の年賀はがきに水分神社が描かれておりその前にソメイヨシノがありましたので、河嶋さまがご覧になったのはその年賀はがきだったのではないかと推測しています。ご質問の主テーマの散り方の違いですが、私は本質的に違いはないが、ソメイヨシノのほうが花びらの量が圧倒的に多いので、散り方に違いがあるように感じておられるのではないかと思います。登録番号1935も参考になるかも知れません。

柴岡 弘郎(JSPPサイエンス・アドバイザー)
柴岡 弘郎(JSPPサイエンス・アドバイザー)
回答日:2014-11-26
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