一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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ノコギリシダの葉表の黒褐色の多数の斑点は何でしょうか。

質問者:   一般   自然人
登録番号3187   登録日:2014-11-28
近畿山中の石灰岩地帯の一画で多数のノコギリシダの葉表に黒褐色の多数の斑点(少し長め)がバランスよく付いていました。斑点(1mmX2mm)の出方は一株の中には緑のみの物(若葉)、少し薄い斑点の物、濃い物、葉全体が黒褐色の物と多彩です。基本的には裏側に斑点は抜けていません。2.5cmの羽片一枚に20~25の斑点が付いてます。この斑点は生理現象・ウイルス等の病気・遺伝等考えられますが原因が知りたいです、宜しくお願いします。
文献などを調べましたが、シダの黒い斑点についての研究は見つかりませんでした。お送りいただいた植物の切片を見ると、自然人さんがお気づきのように、葉の表側の細胞が赤紫の色素を持ち、裏側の細胞はその色素を持っていませんでした。色からアントシアニン系の色素と推定されますが、どうして葉の特定の位置に形成されるのか、なんらかの適応的な意義があるのかは不明です。遺伝的変異で斑が入る場合は、遺伝子が壊れた細胞が、その後分裂して作った子孫の細胞全てが白くなります。タマシダの筋がはいったような斑入りはこの例です。今回のノコギリシダの場合は、そのようなパターンではないようです。低温障害やウイルス感染にしては規則正しく斑が入っているので奇妙です。もしかするとまだよくわかっていない仕組みを制御する遺伝子が壊れているのかもしれません。
基礎生物学研究所
長谷部 光泰
回答日:2015-02-04
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