一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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植物の科を越えた細胞融合について

質問者:   大学院生   石川 智章
登録番号3197   登録日:2014-12-10
遺伝子組換え技術の法であるカルタヘナ法には、細胞融合技術に関して交配などを除く科を越えた細胞融合技術のみ遺伝子組換え技術であるとして法の対象であると書かれています。では、実際にそのような科を越えた細胞融合の成功例はあるのでしょうか?
石川 智章様 

質問コーナーへようこそ.歓迎いたします。 細胞融合(植物についての)の説明に関しては登録番号1217, 1203の回答をお読み下さい。細胞を融合するだけなら原則どんな細胞の間でも可能です。動物・植物間でも可能です。此処ではご質問のタイトルに限ってお答えします。
植物では新しい品種や栽培種の作出に細胞融合は有用な技法として利用されていますが、近縁種あるいは属間の例が多いです。オレタチ、千宝菜、トマピーノ、ヒネ、ポマト、ネギタマ、メロチャなど。異なる科間での細胞融合は多く試みられていますが、新形質を持った個体を再生した例は少ない様です。異なる種、属、科に由来する細胞が一緒になると、染色体の欠失が生じることが多いのです。ニンジ(セリ科)X チョウセンニンジン(ウコギ科)、アマ(アマ科)X ラフマ(キョウチクトウ科),Swertia tetraptera Maxim(リンドウ科.ミヤマアケボノソウの仲間)X ミシマサイコ(セリ科)などで新しい形質を示す個体が再生できたという報告があります。まだ、他にもあるかもしれません。
大学院生の方ということですので、以下の論文を読んで見て下さい。webでdownkoad できます。

Lakshmanan Prabhu Shankar, et al. Asymmetric somatic plant hybridization: Status and applications, American. Journal of Plant Sciences
4(No.8A)1 - 11 (2013)
JSPPサイエンス・アドバイザー
勝見 允行
回答日:2014-12-12
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