一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

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植物ホルモンの最適濃度について

質問者:   高校生   まち
登録番号3208   登録日:2014-12-18
はじめまして。私は植物バイオテクノロジーを始めたばかりの初心者です。
教科書には載っていない植物の器官培養をやりたいと思っているのですが、植物ホルモンのNAAとBAをどの位の濃度で入れたら良いのか全く見当が付きません。
それぞれの植物ホルモン濃度を変えた培地をいくつか作って試し、最適な培地を見つけ出すという方法も考えましたが実験に使うことの出来る植物の量が限られているためそれもできません。どのように見当をつければ良いでしょうか?

また、同じ科の植物や、湿地に生えているなど同じような生育環境にある植物同士ならば大体同じくらいの植物ホルモン濃度で実験は成功しますでしょうか?
キク科なら大体このくらいの濃度などといった見当が付きますか
まちーさん

質問コ-ナーへようこそ。歓迎致します。さてご質問のことですが、大変難しく答え難い、と言うよりはお答えしようがないとお答えするより他にありません。私にも見当がつきません。「教科書に載っていない植物の器官培養をやりたい」と言うだけではなんのことか分からないのです。器官培養といっても、根、茎、葉、花、果実、種子、茎頂などなどで、どこをどのように使って培養したいのか。また、器官培養によってどうしたいのか。そのまま器官を大きく成長させたいのか、カルス化させたいのか、そしてカルスから根や葉条などを分化させたいのかなど、目的はなんでしょうか。また、教科書に載っていない植物として、どんな植物を頭に描いているのですか。教科書も沢山種類がありますし、大学レベルの教科書もあります。植物の細胞・組織・器官培養のための最適な培養培地は植物の種類や材料や目的によって同一ではありません。一般に良く使われるMurashige・Skoogの基本培地は大体同じでも、微量元素やビタミン類などの有機微量栄養物質などの種類や量は変わります。特に植物ホルモンは(主としてオーキシンとサイトカイニン)の調製は個々に決めるのがふつうです。植物によっては、例えばサイトカイニンは自前で作っているとかのような例もあります。実験においては、新しいことに挑戦する場合はどうしても試行錯誤が必要です。一回で成功させようと思うやり方は間違っています。勿論偶々うまくいくこともありますが、結局それがベストの条件かを調べてみることになります。実験は労を惜しんではいけません。
いろいろがっかりさせるようなことばかり言ってご免なさい。あなたがこの実験で何を明らかにしたいのか分かりませんが、せっかく実験したいと思っておられるのですから、助言できるとすれば、以下のやり方を試してみて下さいというくらいでしょうか。

1)自分が試してみたい植物(キク科の植物?)の近縁の植物で、既に培養報告がある植物を見いだして、まずその植物を使って、記載されている通りにうまくいくかを確かめる。培養テクニックの練習にもなります。植物培養の参考書はいく種類もありますし、インターネットでも検索してみて下さい。
2)それでうまくいくようであれば、同じ培地組成で目的の植物を使って培養してみる。
3)植物ホルモンの濃度はある程度幅をもたせた組み合わせで試してみる。
4)うまくいけば、万歳。いかなければ暗中模索の継続ですね。

最後に、質問内容が最初に書いた疑問に答えるようになっていれば、多少とももっと参考になることが言えたかもしれません。でも、こうすれば必ず成功すると言うようなレシピはできないとでしょう。
JSPPサイエンス・アドバイザー
勝見 允行
回答日:2014-12-26
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