一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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アントシアニンの濃縮

質問者:   高校生   むらさき
登録番号3210   登録日:2015-01-09
私は紫キャベツから1%塩酸メタノールを用いてアントシアニンを抽出し、エバポレーターで濃縮したのですが濃縮しすぎると粘り気が出てだまになります。なぜこのようなことがおきるのでしょうか。教えてください。
むらさきの君様

質問コーナーへようこそ。歓迎致します。植物組織からの抽出物(液)には、どんな抽出溶媒を使うにしろ、ふつういろいろな物質が混在しています。これらの物質は濃縮などの操作によって濃度が高まれば、また熱が加わったりすると、お互いに反応し合ったりして抽出液の粘度など物理的性質や化学的性質に影響することは珍しくありません。ご質問については京都大学大学院生命科学研究科の佐藤文彦教授に以下のような回答をいただきました。

簡単にいえば、抽出液の中には、糖や有機酸等、アントシアニン以外の成分が含まれており、抽出液を単純に濃縮すると粘り気がでてくるのは、当然のことといえます。また、これらの成分(アントシアニンも含めて)は、親水性が高く、完全に乾固させることは難しいといえます。従いまして、抽出後、ある程度濃縮したのち、なんらかの分離精製を行うことが必要です。一方、アントシアニン自身の特性として、いわゆるフェノール性化合物であり、フリーの水酸基がありますので、濃縮途中で酸化すると重合してしまうことも考えられます。
 なお、本質問コーナーにはこれまでにアントシアニンに関する沢山の質問が寄せられています。すでにチェックされておられるかもしれませんが、特に登録番号1178(アントシアンの精製について)、登録番号2804(果実由来のアントシアンの精製について)、登録番号2977(アントシアニンの抽出法)を参考にして下さい。参考文献がいくつか紹介されています。
JSPPサイエンス・アドバイザー
勝見 允行
回答日:2015-01-20
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