一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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ノースポールの花が赤くなった

質問者:   一般   kikko
登録番号3247   登録日:2015-03-31
去年の冬花壇の寄せ植えにノースポールの花を植えました。秋になってこぼれ種から育ったノースポールの花苗を、自宅のプランターと職場のプランターに植えました。最近やっと花が咲き始めたところ、自宅のプランターには普通のノースポールの白い花が。職場のプランターには、赤い花(花びらは濃いピンク、花の根本は白く、真ん中は黄色から赤)が咲きました。
同じこぼれ種からどうして白い花と赤い花が咲いたのでしょうか?土壌のアルカリ性などが影響してるのでしょうか?
インターネットで調べたところ、ノースポールの花は白か黄色、赤い花はありません。品種改良などの途中の隔世遺伝か何かなのでしょうか?
こんなことはよくあることなのですか?教えてください。
kikkoさま
 みんなのひろばへのご質問ありがとうございました。日本植物生理学会の会員の中に花の専門家を見つけることが出来ませんでしたので、遺伝学がご専門の奈良女子大学の鈴木孝仁先生にご回答をお願い致しましたところ、以下のように可能性のいくつかをあげて下さいました。ご参考になれば幸せです。



【鈴木先生からのご回答】
回答します。ただし、私は花の専門家ではないので、回答例として考えられる可能性のいくつかがこぼれ落ちているかも知れません。

ノースポールChrysanthemum paludosumの同属種には、レインボウ・ミックスと呼ばれるChrysanthemum multicauleやC. x grandiflorumがあります。これらの種では、ご指摘されたような「花びらは濃いピンク、花の根本は白く、真ん中は黄色から赤」を示す栽培種が販売されています。
第1の可能性
もともと種子に2種が混合していたことが考えられます。ノースポールの白い花をきわだたせるために、黄色や赤の花をつけるレインボウ・ミックスと一緒に植えることがあります。もしそうした経緯があったとすれば、複数種の種が混ざっていた可能性があります。

第2の可能性
花の色を決める色素形成の遺伝子や、その遺伝子のはたらきを制御している遺伝子に突然変異がすでにノースポールの個体に起きていて(育種の過程で)、変異した遺伝子がこぼれ種に分離していたという可能性も考えられます。こうした突然変異遺伝子が劣性ですと、親の世代では赤い花になる表現型は現れませんが、子孫である種子の一部で、この劣性の突然変異遺伝子がホモ接合になったため、赤い花が咲くようになったと考えることが出来ます。この仮説が正しいかどうかは、赤い花の個体からできる花粉を、白い花になる親の個体のめしべに付けて、逆交雑(バック・クロス)をすれば、赤い花になる種子と白い花になる種子の両方が子孫に出てくるかどうかで確かめることが出来ます。

 鈴木 孝仁(奈良女子大学)
JSPPサイエンスアドバイザー
 柴岡 弘郎
回答日:2015-04-01
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